日本造血・免疫細胞療法学会雑誌
Online ISSN : 2436-455X
総説
サイトカインストーム症候群における細胞外プロテアーゼの機能解明と新規治療戦略
服部 浩一島津 浩長田 太郎高橋 聡ハイジッヒ ベアテ
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2023 年 12 巻 4 号 p. 200-207

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抄録

 COVID-19の病態解明は,全世界喫緊の研究課題でありながら,後遺症を含め未だ不明な点が多く,死者数も700万人に達しようとしている。筆者らは,これまでの研究で,凝固・線維素溶解系(線溶系)による炎症性疾患病態制御機構,そしてCOVID-19の重症化病態を含む「サイトカインストーム症候群」の病態解明を進めてきた。血管内皮障害・機能異常は,凝固・線溶系に代表されるセリンプロテアーゼの一群とメタロプロテアーゼとの二種類のプロテアーゼによって,内皮由来のアンジオクライン因子と炎症性サイトカインとの産生過剰と不均衡を招来,臓器恒常性を維持するアンジオクラインシステムの破綻を誘導,サイトカインストーム症候群の病態形成に関与すること,そしてこれらの細胞外酵素を標的とした抗炎症療法の可能性を提示した。本稿では,筆者らの研究成果を中心に,炎症性疾患における線溶系の意義について,紙面の範囲内で概説する。

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© 2023 一般社団法人日本造血・免疫細胞療法学会
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