日本造血・免疫細胞療法学会雑誌
Online ISSN : 2436-455X
総説
ハプロ移植におけるLOH,HLA発現低下
西尾 信博
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2023 年 12 巻 4 号 p. 222-227

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抄録

 HLA半合致移植(ハプロ移植)では,ドナーのT細胞がHLA不一致白血病細胞を強く傷害することが期待されるが,その結果としてgraft-versus-leukemia effect(GVL効果)を回避する白血病クローンが生じる。再発メカニズムとして頻度が高く重要なのは,loss of heterozygosity(LOH)による不一致HLAの喪失である。ハプロ移植後の再発例におけるLOHの割合は20-50%にものぼり,これらの症例にはドナーリンパ球輸注の効果は期待できないことから,再発例におけるLOHの同定は臨床的に極めて重要である。また近年,ハプロ移植を含む同種造血幹細胞移植後のエピジェネティックな移植後免疫回避メカニズムとして,HLA class Ⅱ分子の発現低下が同定されている。白血病に対するハプロ移植を成功させるには,移植後の免疫回避を予防する戦略が必要である。

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© 2023 一般社団法人日本造血・免疫細胞療法学会
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