2023 年 12 巻 4 号 p. 213-221
プロテアソーム阻害薬,免疫調節薬,抗CD38モノクローナル抗体の全てによる治療を終えたtriple class exposed(TCE)状態の多発性骨髄腫(MM)に対する有効な治療選択肢は限定的であるが,近年,開発・臨床導入された抗BCMA CAR-T細胞療法であるIdecabtagene vicleucel(Ide-cel)とCiltacabtagene autoleucel(Cilta-cel)は,その克服が期待される新戦略である。これらは共に既存治療に比しTCE-MMに対して,高い奏効率と長期の疾患制御を可能とすることが示されている一方,現状のセッティングでは疾患克服をもたらしたとまでは言えない。本稿ではMMにおけるIde-cel,Cilta-celの効果と限界,CAR-T細胞療法の課題と展望について概説する。