日本造血・免疫細胞療法学会雑誌
Online ISSN : 2436-455X
総説
急性骨髄性白血病における同種移植の適応:内科医の視点から
宮尾 康太郎
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2024 年 13 巻 2 号 p. 61-68

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抄録

 成人急性骨髄性白血病(AML)は,予後中間または不良の場合第1寛解期で同種移植を検討する。実臨床での制限はあるが,遺伝子解析や微小残存病変測定技術の進歩によってAML予後推定の精度は向上している。一方同種移植そのものの治療成績は向上し,臍帯血など代替幹細胞源を用いた移植が実施しやすくなっている。このように成人AMLの移植適応は予後予測と移植治療両面の進歩を反映しながら今日も更新され続けている。小児と成人のシームレスな移植適応を考えるとき,過渡期である思春期・若年成人(AYA)世代は重要な対象である。他の成人年代と比較しAYA世代は化学療法,同種移植ともに成績良好である。しかし化学療法にて小児型強化レジメンの有益性は証明されておらず,一方で同種移植後の晩期合併症や社会的制限に課題がある。AYA世代を対象とした小児科との協力した取り組みは,AMLの全世代的治療向上につながるだろう。

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© 2024 一般社団法人日本造血・免疫細胞療法学会
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