2025 年 14 巻 1 号 p. 12-20
新規薬剤およびモノクローナル抗体の登場により未治療多発性骨髄腫(MM)の治療成績は劇的に向上した。ボルテゾミブ,レナリドミドを含む3剤併用の寛解導入療法が主流となっている現在においても,up-frontの自家末梢血幹細胞移植併用大量メルファラン療法(HDM/ASCT)が無増悪生存期間(PFS)の延長に寄与することが複数の臨床試験で示されており,維持療法の継続によりPFSは5年を超える時代となった。一方,移植非適応症例に対する抗CD38抗体を含む治療により5年以上のPFSも期待されるようになり,近い将来移植適応症例に対しても抗CD38抗体を含む寛解導入療法が行われるようになると思われる。HDM/ASCTはALアミロイドーシスおよびPOEMS症候群に対しても有効な治療法であるが,ALアミロイドーシスに対しては抗CD38抗体が用いられるようになり,HDM/ASCTの位置づけが変化しつつある。