日本造血・免疫細胞療法学会雑誌
Online ISSN : 2436-455X
総説
多発性骨髄腫および類縁疾患に対する自家移植の役割
塚田 信弘
著者情報
ジャーナル フリー

2025 年 14 巻 1 号 p. 12-20

詳細
抄録

 新規薬剤およびモノクローナル抗体の登場により未治療多発性骨髄腫(MM)の治療成績は劇的に向上した。ボルテゾミブ,レナリドミドを含む3剤併用の寛解導入療法が主流となっている現在においても,up-frontの自家末梢血幹細胞移植併用大量メルファラン療法(HDM/ASCT)が無増悪生存期間(PFS)の延長に寄与することが複数の臨床試験で示されており,維持療法の継続によりPFSは5年を超える時代となった。一方,移植非適応症例に対する抗CD38抗体を含む治療により5年以上のPFSも期待されるようになり,近い将来移植適応症例に対しても抗CD38抗体を含む寛解導入療法が行われるようになると思われる。HDM/ASCTはALアミロイドーシスおよびPOEMS症候群に対しても有効な治療法であるが,ALアミロイドーシスに対しては抗CD38抗体が用いられるようになり,HDM/ASCTの位置づけが変化しつつある。

Fullsize Image
著者関連情報
© 2025 一般社団法人日本造血・免疫細胞療法学会
前の記事 次の記事
feedback
Top