日本造血・免疫細胞療法学会雑誌
Online ISSN : 2436-455X
総説
実臨床での本邦におけるCAR-T細胞療法の課題:Vein-to-vein interval/アフェレーシス産物未使用について
八木 悠熱田 由子加藤 光次
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2025 年 14 巻 1 号 p. 6-11

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抄録

 CD19標的キメラ抗原受容体T(CAR-T)細胞療法が再発/難治性大細胞型B細胞性リンパ腫の治療にパラダイムシフトをもたらした。CAR-T細胞療法のリアルワールドデータでは,欧州は米国に比べ治療成績が劣り,その一因としてリンパ球アフェレーシスから輸注までの期間(vein-to-vein interval)が米国より長いことが挙げられている。本邦でのvein-to-vein intervalは欧州よりもさらに長く,2022年以降はさらに延長傾向にあり,早急に対処すべき課題である。また,リンパ球アフェレーシス後に,病勢増悪や合併症により輸注に至らないケースも報告されている。アフェレーシス産物未使用により患者の治療機会が失われるだけでなく,コスト面でも重大な問題が生じている。これらの問題を解決するには,病床運用の改善,ブリッジング治療の向上,感染症の管理が必要である。

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© 2025 一般社団法人日本造血・免疫細胞療法学会
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