2025 年 14 巻 1 号 p. 6-11
CD19標的キメラ抗原受容体T(CAR-T)細胞療法が再発/難治性大細胞型B細胞性リンパ腫の治療にパラダイムシフトをもたらした。CAR-T細胞療法のリアルワールドデータでは,欧州は米国に比べ治療成績が劣り,その一因としてリンパ球アフェレーシスから輸注までの期間(vein-to-vein interval)が米国より長いことが挙げられている。本邦でのvein-to-vein intervalは欧州よりもさらに長く,2022年以降はさらに延長傾向にあり,早急に対処すべき課題である。また,リンパ球アフェレーシス後に,病勢増悪や合併症により輸注に至らないケースも報告されている。アフェレーシス産物未使用により患者の治療機会が失われるだけでなく,コスト面でも重大な問題が生じている。これらの問題を解決するには,病床運用の改善,ブリッジング治療の向上,感染症の管理が必要である。