日本造血・免疫細胞療法学会雑誌
Online ISSN : 2436-455X
総説
造血細胞移植患者の臨床研究―口腔微生物叢と全身状態との関わり―
奥 菜央理竹下 徹二木 寿子今村 貴子森 康雄柏﨑 晴彦
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2025 年 14 巻 2 号 p. 97-100

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抄録

 造血細胞移植(以下,移植)レシピエントは移植前処置に伴う骨髄抑制や免疫抑制剤の使用により易感染性宿主となる。口腔には多種多様かつ大量の細菌が常在しており,粘膜障害発症時には起炎菌となり得るため,移植前の口腔内感染源除去や口腔衛生状態の改善は非常に重要である。当院では移植予定患者に対する口腔内感染源の精査/除去や口腔内清掃を実施し,移植治療中には歯科医師・歯科衛生士からなる歯科往診ケアチームによる口腔ケアサポート体制を構築し,血液内科医,病棟看護師とも連携しながら活動を続けてきた。その中で,口腔環境が口腔有害事象を含む移植アウトカムに影響を与える可能性を考え,特に口腔微生物叢に注目して臨床研究を進めている。本稿では,当院での移植患者への口腔管理の取り組みとともに,移植患者の口腔微生物叢の実態と全身状態・口腔有害事象との関連について解析した臨床研究の結果を報告する。

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© 2025 一般社団法人日本造血・免疫細胞療法学会
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