日本造血・免疫細胞療法学会雑誌
Online ISSN : 2436-455X
総説
移植後シクロホスファミドを用いたHLA半合致移植
杉田 純一
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2025 年 14 巻 2 号 p. 82-90

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抄録

 移植後シクロホスファミドを用いたHLA半合致移植(PTCyハプロ)は,世界中で急速に増加している。日本では,2020年にHLA半合致移植数がHLA適合移植数を上回り,2024年にはPTCyが保険適用となった。日本の後方視的研究では,PTCyハプロはHLA適合非血縁者間移植および臍帯血移植の成績と同等であった。PTCyハプロは,非骨髄破壊的前処置と骨髄移植で開発されたが,最近では末梢血幹細胞移植,骨髄破壊的前処置にも用いられている。末梢血幹細胞の使用,輸注CD34陽性細胞数の増加,若年ドナー,HLAクラスⅡの不一致,HLA-B leaderの一致,減量PTCy,カルシニューリン阻害剤の早期開始,移植後維持療法など,PTCyハプロを改善するための戦略が試みられている。さらに,PTCyはHLA適合移植やHLA 1-2アレル不適合移植でも有効性を示し,日本人の前向き第Ⅱ相試験でも良好な結果が報告された。PTCyによりGVHDを十分に抑制することで,より安全な同種移植が期待される。

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© 2025 一般社団法人日本造血・免疫細胞療法学会
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