天然有機化合物討論会講演要旨集
Online ISSN : 2433-1856
第60回天然有機化合物討論会実行委員会
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13. 生体分子の化学修飾に有用な多分子連結型DACNの開発(口頭発表の部)
*河崎 悠也瀬戸 祐樹河原 慎太朗井川 和宣友岡 克彦
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p. 73-78-

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抄録

はじめに  近代の生物有機化学や機能性材料の研究においては,クリック反応と総称される選択的かつ効率的な分子連結法が重要な役割を果たしている1.末端アルキンとアジドの付加環化反応(Huisgen反応)はその代表例であり,従来から幅広く利用されてきた2.しかしながら,その反応加速には細胞毒性の高い銅触媒を必要とすることが生細胞を対象とする研究の障害となっていた3,4.これに対して最近我々は,銅触媒がなくともアジドとのHuisgen反応が迅速に進行する含窒素9員環アルキンDACN: 4,8-diazacyclononyne (1)の開発に成功した(式1)5.1は,高いクリック反応性とともに,優れた化学的,熱的安定性を併せ持ち,また,その環上に種々の官能基を導入することができる.  今回,1のさらなる応用展開を目指して,その効率的ワンポット合成法を開発するとともに,生体分子の化学修飾に有用で,かつ,アルキン部位でのHuisgen反応と相互に干渉しない分子連結部位を導入した多分子連結型DACN [DACN-MMC: DACN derived Multi-Molecule Connector (2)]を新たに設計して,その合成と応用について検討した(式2). DACNのワンポット合成法の開発6  我々は初期研究において,1を1) 2-ブチン-1,4-ジオールのコバルト錯体化,2) BF3·OEt2を用いた1,3-プロパンジアミン誘導体との二重Nicholas反応,3) 硝酸アンモニウムセリウム (CAN)によるコバルト部位の除去,の3工程で合成していたが,各段階で精製を要するために非効率であった(式3-1).これを改善するために今回,1のワンポット合成を試みたところ,窒素上の保護基が異なる1a-1c,側鎖にエステ

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