日本転倒予防学会誌
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特集
転倒予防のための足下視力重視の屈折矯正
鈴木 武敏
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2018 年 5 巻 1 号 p. 7-11

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抄録

 高齢者にとって,転倒は身体的,精神的問題を引き起こす軽視できない課題であり,その予防対策はさまざまな分野で研究されている。転倒予防と視機能の関連は視力,コントラスト視力,視野,両眼視,空間認知機能などで検討され,視機能と転倒が深く関わっていることが報告されている。しかし,眼科医目線で転倒予防を考えると,いくつかさらなる検討を要する点がある。これまでの検討に用いられた視力は,遠方の視力であり,転倒のきっかけである躓きに関わる足下の視力でない点と,転倒予防に資する白内障手術や眼鏡提供がなされているのかという点が挙げられる。眼科にとって転倒予防は,高齢者の運転事故の減少,認知症の進行予防とも深い関係があり,これからの高齢社会を考えると,決して無視できない重要な課題であり,眼科と他科とのさらなる共同研究が必要である。

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© 2018 日本転倒予防学会
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