2021 年 15 巻 p. 13-23
子育て当事者たちによる活動によって各地に広がりをみせた子育て広場は、2005年に地域子育て支援拠点事業として規定され、2019年度末時点で、7,578カ所での実施が報告されている。数値目標はほぼ達成され、今後は支援内容の質的向上により子育て支援機能の充実を図ることが求められる。
本研究では、S市においてNPO法人Jが運営する4つの子育て広場における物的な環境とその構成に着目し、実地調査と支援スタッフに対するインタビュー調査を実施した。その結果、NPO法人Jでは子育て広場の環境を構成する際は「親子(特に親)が安心して過ごせること。」「利用者や支援スタッフは多くの親子が見える(見渡せる)こと。」「子どもが主体的に遊び込めること。」を重視していることがわかった。これらの環境構成は、親子間に適切な距離を創出し、そのことによって親子と支援スタッフや他親子とのつながりを生み出す、親子の関係性を改善するなど支援者の意図が含まれていることが示唆された。