近年、インターネットの過度な使用によって生活や健康に支障をきたすネット依存の問題が指摘されている。こうしたネット依存を測定する尺度としてインターネット依存度テスト(IAT)がある。本研究ではIATの因子構造について検討した。探索的因子分析により「コントロール喪失」と「執着と恥・苛立ち」の2因子が抽出された。1因子モデルと2因子モデルについて確認的因子分析を行い、モデルの適合度について比較したところ、各指標について2因子モデルの方がよい値を示した。精神的健康に関わる指標や対人関係に影響を及ぼす指標との関連を調べたところ、因子によって相関係数に差が見られる尺度があった。従来のIATの合計得点で表される重症度は日常生活の活動への支障を表す「コントロール喪失」がより強く反映されており、「執着と恥・苛立ち」はネット依存の心理的側面を検討するのに有用であることが示唆された。