GIS-理論と応用
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原著論文
ベイズ地理的時間的加重回帰におけるパラメータ平滑化手法
―首都圏における滞留者分布と土地利用を分析対象としたケーススタディ―
アリプレシリキ サジャド大佛 俊泰沖 拓弥
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2016 年 24 巻 2 号 p. 73-84

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抄録

本稿では,ベイズ地理的時間的加重回帰 (BGTWR) を用いてデータに備わる時間的パターンを検出する際に,周期関数を用いてパラメータを平滑化する手法を提案した。具体的には,まず,回帰係数間の時間的関係の長さ,傾向,および,周期性を調整するためのパラメータ・セットを考案し,異なる平滑化関数の形状を同一の基準を用いて比較した。次に,本手法の適用例として,パーソントリップ調査と細密数値情報(10mメッシュ土地利用)のデータを用いて,首都圏における住宅と商業施設の滞留者分布の関係をBGTWRにより分析した。BGTWRを用いることで,非ベイズモデルと比較して,要約統計量のばらつきは小さく,安定した結果を得ることが可能である。また,ベイズ情報量基準 (BIC) の値に基づき平滑化手法を比較すると,本稿で提案した平滑化手法は,他の手法と比較して最も良い結果を示した。さらに,得られた回帰係数のt値の時空間分布を視覚化することで,分析対象地域における滞留人口分布の時空間的特性は非ベイズモデルよりも平滑化され,滞留人口の地理的な拡散現象の理解がより容易になることを示した。

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© 2016 一般社団法人 地理情報システム学会
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