2018 年 6 巻 1 号 p. 33-36
体外循環の際に生じる血液凝集塊の形成は,特有のアルカレミア環境で出現するいが状赤血球に起因すると言われる。しかしながら通常の塗沫標本による観察では,酸塩基平衡異常における赤血球の評価は難しい。本研究では赤血球浮遊液を用いてアルカレミア環境における赤血球形態の観察を試みた。
各酸塩基平衡の異なる赤血球浮遊液を用意し,細胞培養用プレートに準備した。倒立顕微鏡を用いてプレートの下から血球を観察した。pH7.5の生理的酸塩基状態にある赤血球浮遊液は,スライドグラスとカバーグラスを使う場合と異なり,Glass Effect による人工的な形態異常を認めずに正常赤血球を観察できた。一方,同様の方法で観察したpH9.0の赤血球浮遊液では,多数のいが状赤血球を観察した。以上から,本観察方法が酸塩基平衡異常における血球形態観察に有用であることを示すとともに,アルカレミア環境においてはいが状赤血球が出現し,血液凝集塊形成の一因となる可能性を示した。