Thermal Medicine
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がん幹細胞に対するハイパーサーミアの有効性
大西 健
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2017 年 33 巻 2 号 p. 29-37

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抄録

正常組織には,体性幹細胞が存在し,その自己複製能と分化能によって組織形成,維持及び修復システムで重要なはたらきをしている.種々の固形がんにおいても幹細胞が存在することが15年ほど前から明らかにされ,腫瘍の形成維持に寄与していると考えられている.また,この細胞は放射線や抗がん剤に対して抵抗性を示すため,治療後に残存すると再発や転移に繋がると考えられている.腫瘍に存在するこのような幹細胞はがん幹細胞と呼ばれる.現在,がんの根治を可能にするには,このがん幹細胞への対応が必要とされる状況となっている.このようにがん幹細胞は広く認知されるようになった反面,その実体/実態についてはまだよく理解されていない.今後,がん幹細胞を標的とするより進歩したがん治療戦略の開発が望まれるが,がん幹細胞そのものを正しく理解し,その取扱いに充分注意して研究を進める必要があると考えられる.そこで本総説では,がん幹細胞とは何か,そしてがん幹細胞を対象とした研究の注意すべき点に言及し,がん幹細胞に対するハイパーサーミアの有効性について考察する.

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© 2017 日本ハイパーサーミア学会
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