Thermal Medicine
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口腔癌に対するハイパーサーミア
藤内 祝
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2017 年 33 巻 4 号 p. 103-115

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抄録

口腔癌の治療は手術が標準治療であるが,術後の機能障害(構音障害,嚥下障害,咀嚼障害)や審美障害が大きな問題である.よって非侵襲的治療が求められるが,その治療手段の一つに温熱療法(ハイパーサーミア)に注目した.磁性体針を用いた磁場誘導組織内加温法(implant heating system: IHS)が開発され,実験的,臨床的に効果を検討した.実験的(家兎VX7舌腫瘍)には舌腫瘍の抹消側には温熱効果も高いが,中枢側ではクーリング作用もあり温熱効果が低かった.また,臨床的には腫瘍の大きさに合わせて磁性体針を複数本刺入し化学療法と併用して8例の口腔癌患者に治療を行ったが,温度分布も良く全ての症例で腫瘍は消失した.
Magnetic liposomesの磁性微粒子を用いた組織内加温の抗腫瘍効果を実験的に検討した.舌腫瘍原発に対しては温度も高く腫瘍の消失がみられた.また,舌腫瘍に注入した磁性微粒子は頸部リンパ節転移にも選択的に移行しており,頸部のみの交流磁場照射でも頸部リンパ節転移の壊死,アポトーシスがみられた.既存の薬剤であるフェルカルボトランは交流磁場下で発熱が認められ,さらに,シスプラチン単独よりも温熱併用でアポトーシス誘導作用が増強されることが確認できた.また,新規磁性体有機化合物(Fe (Salen))を用いて実験的に抗腫瘍効果を検討した.Fe(Salen)単独投与でも抗腫瘍効果が認められた.電磁石によって局所に集積させると抗腫瘍効果が増し,高周波磁場下では発熱し腫瘍の消失がみられた.
進行口腔癌に対して新しい超選択的動注化学放射線療法とRFハイパーサーミアの併用療法は頸部リンパ節転移(N3)に極めて有用であった.この治療は進行口腔癌に対して非侵襲治療(臓器温存治療)の一つとして期待できるものであった.

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© 2017 日本ハイパーサーミア学会
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