東海北陸理学療法学術大会誌
第23回東海北陸理学療法学術大会
セッションID: O016
会議情報

脳血管障害者の杖歩行から杖なし歩行への自立判定基準の検討
10m歩行テストに着目して
*津波古 文子氏原 三歌浅井 奈津子
著者情報
キーワード: 自立判定, 歩行速度,
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録
【目的】臨床の場面において,杖なし歩行が可能であるがT字杖を使用し歩行(以下杖歩行)を行っている脳血管障害患者を見かける.このような患者の自立判定は,理学療法士による歩行動作の観察を元に判断されていることが多い.客観的な評価として用いられる10m歩行テストは自立判定に有用であるとされているが,基準値が明確にされていない.〈BR〉そこで本研究では,杖なし歩行への自立判定において10m歩行テストに着目し,歩行速度の基準値を算出することを目的とし,さらにその値の有用性の検討を行った.〈BR〉 【対象】対象は,当センターに入院加療した脳血管障害による片麻痺者194名(杖歩行群115名,杖なし歩行群79名)である.選択基準は歩行レベルが院内自立以上とし,装具を使用している者は対象から除外した.杖歩行群の内訳は,平均年齢69.8±10.7歳,Brunnstrom recovery stage(以下BRS)3:5名,4:16名,5:33名,6:25名であり,杖なし歩行群では,平均年齢66.0±10.1歳,BRS3:1名,4:3名,5:27名,6:84名であった.〈BR〉 【方法】対象者を杖歩行群と杖なし歩行群に分け,10m歩行テストから歩行速度(m/sec)を算出し,この値を2群間で比較した.比較にはt検定を用い,有意水準は5%未満とした.また, 統計処理ソフトJUSE-MAを用い,1変数による判別式にて境界値を算出した.〈BR〉 【結果】杖歩行群の平均歩行速度は0.7±0.3 m/sec,杖なし歩行群の平均歩行速度は1.0±0.3 m/secであり,2群間の歩行速度に有意差を認めた.境界値については0.9 m/secとなり,誤判別率は26.4%であった.〈BR〉 【考察】歩行自立度の判定には,歩行速度が有用であるとの報告がなされており,今回の結果からも2群間で有意差を認めた事から歩行速度が杖歩行から杖なし歩行への自立判定に有用であることが分かった.〈BR〉自立判定基準値は,杖歩行群と杖なし歩行群の境界値0.9m/secとなった.しかし誤判別率は26.4%であり,自立判定に有用な数値ではないと考えられた.〈BR〉誤判別率が高くなった原因は,片麻痺者の杖の使用目的が,歩行能力により異なるためと考えられる.歩行能力が低い場合は,支持性,安定性を補うことに用いられることが多く,歩行能力が高くなるにつれて,制動性,駆動性を補うことに比重が置かれるとの報告がなされている.本研究でも,杖歩行群の杖の使用目的の違いが歩行速度に影響し,誤判別率が高くなったと考えられる.〈BR〉今後は,片麻痺者の歩行速度の決定因子である,麻痺側下肢の支持性と立位バランスの安定性についても境界値を算出し,歩行速度と併用することで,信頼性の高い自立判定基準になると考えられた.
著者関連情報
© 2007 東海北陸理学療法学術大会
前の記事 次の記事
feedback
Top