東海北陸理学療法学術大会誌
第23回東海北陸理学療法学術大会
セッションID: O035
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終末期患者に理学療法士としてできたこと
~村田理論に基づき症例を振り返って~
*池田 聡恵西野 学谷口 尚美浅利 香吉本 真樹櫛山 育恵中村 孝佳朝本 明弘
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キーワード: 終末期, 村田理論, 緩和ケア
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抄録
【はじめに】
リハビリテーションとは語源から「再び適したものにする事」を意味するが、終末期患者は身体的にそれが不可能である。では、終末期にPTはどう関われるのか。当院緩和ケアチーム(以下、チーム)がスピリチュアルペインの分析に用いている村田理論で症例を振り返ったので報告する。
【症例紹介】
50歳代、男性、職業は会社経営。診断名は胃癌、リンパ節転移、肝転移。妻と二人暮らしで市内と他県にそれぞれ娘夫婦が在住。
【医学的経過】
チーム介入の約5ヶ月前に胃空腸バイパス術を施行し、術後化学療法を行うが、全身倦怠感のため中止し退院された。その後再入院し、チーム介入と同時に理学療法を開始した。チーム介入後2度目の入院で永眠された。
【理学療法の関わり】
*チーム介入1回目の入院(20日間):
第一印象は話好きな明るい方だった。ADLは比較的保たれており、全身調整と気分転換を目的にリラクセーションを促す体操とリカンベントエルゴメーターを施行した。会話から病と闘う姿勢が強く、治療への期待と治療後の生活に目標があった。
・分析:家族関係は良好で関係存在は保たれていた。治療後の目標もあり時間存在も保たれていた。また、自己決定権もあり自律存在も保たれていた。
*チーム介入2回目の入院(52日間):
全身倦怠感が強く、ほとんど臥床していた。そこで頚背部へのマッサージでリラクセーションを促した。また、腹部膨満感が強い時は、腹部マッサージを施行した。妻もマッサージに協力的だった。「医療者は‘手当て’をするべき」とよくお話され、PTが身体に触れることを喜ばれた。亡くなる直前はお顔を拝見するだけだったが毎日訪室した。亡くなった後の為に知人に手紙を書くなど『死』を覚悟される一方、見舞客には「あと10年頑張らんなん」と話していた。ADLは徐々に低下したが、医療者への感謝やねぎらいの言葉が増えた。
・分析:家族の支えがあり関係存在は保たれていた。ADLは低下したが『他者に委ねる』ことができ自律存在も保たれていた。将来に明確なものがなく時間存在の低下を感じたが、関係存在、自律存在で補えており、安定した状態であった。
【終わりに】
PTは患者の身体に触れる(=手を当てる)ことが多い。それは医療の原点「手当て」である。今回、一時だが癒しの時間を提供でき非常に良かったと思う。また、比較的状態の良い時期より介入し信頼関係を築けていたことで、最期まで関わることができた。今回、担当した症例を村田理論で後方視的に分析し、症例が精神的に安定した状態で最期を迎えたと感じた。そして、PTの身体面への「手当て」でより安定した状態に導けたのではないかと思う。今後は日々の会話をその都度村田理論で分析し、患者の精神的援助に役立てて生きたいと思う。
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© 2007 東海北陸理学療法学術大会
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