抄録
【はじめに】
我々は第22回東海北陸理学療法学術大会にて適合した靴の有効性を報告した。今回は、適合した靴を装着した状態で変形性膝関節症内側型(膝OA内側型)の症例を評価し、各タイプ別に足底装具を製作、装着したところ、さらに歩行時痛の改善が得られたので報告する。
【対象】
平成17年2月2日から平成19年3月22日までに当院を受診し、膝OA内側型と診断された患者のうち27例(男性5例、女性22例)39膝である。平均年齢は70歳、平均身長は153.6cm、平均体重は58.4kg、X線OAグレードはKL分類に準じ、_I_が5膝、_II_が19膝、_III_が10膝、_IV_が5膝であり、平均FTAは182.1°であった。対象は、膝伸展制限、外反母趾などの変形は無く、骨折などの特記すべき既往歴がないことを条件とした。
【方法】
1.タイプ分類はフットプリントおよび歩行時の後足部をOLYMPUSデジタルカメラにて高速連射撮影し、立脚中期時の床面に対しての踵骨2等分線より、後足部を回外タイプ20膝と回内タイプ19膝に分類した。
2.足底装具は三進興産社製DSISパッドとドイツEMSOLD社製パッドを用いて製作した。後足部回外タイプには、後足部を回内方向へ誘導するように製作し、後足部回内タイプには、後足部を回外方向へ誘導するように製作した。
3.効果判定は足底装具装着前後での10m歩行時間および歩数、VASを3回計測し、平均値にて比較した。また1週間後での10m歩行時間、歩数、VAS、 整形外科膝治療成績判定基準(JOAスコア)での改善効果を評価した。統計は対応のあるt検定を用いた。
【結果】
10m歩行時間は、装着前は平均9.4秒であったが装着後は平均8.7秒と改善し、1週間後は平均8.3秒となった。10m歩数は、装着前は平均17.6歩であったが装着後は平均16.6歩と改善し、1週間後は平均16.1歩となった。VASは、装着前は平均2.9であったが装着後は平均1.3と改善し、1週間後は平均0.5となった。JOAでは、装着前は平均72.8点であったが装着1週間後は平均79.6点と改善した。全ての評価項目にて1%の有意差が認められた。
【考察】
今回、タイプ別に製作した足底装具装着により、対象の膝荷重時痛、歩行速度において著明な改善がみられた。その要因としては第1に後足部の安定化が得られ、歩行時の膝関節への回旋ストレスが減少したこと、第2に内側縦アーチや横軸アーチの支持により、非装着時と比べて足内在筋群が優位に働いたことなどが考えられた。現在、膝OA内側型患者に対し、ラテラルウェッジという考えが根強く残っているが必ずしもラテラルウェッジを装着するのではなく、各タイプにあった適切な足底装具を製作することが重要である。