東海北陸理学療法学術大会誌
第24回東海北陸理学療法学術大会
セッションID: P017
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ポリオ羅患者における下肢の重症度と装具使用状況
*日高 慶美鈴木 由佳理沢田 光思郎水野 元実西尾 美和子川合 麻里松田 文浩小野田 康孝才藤 栄一
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抄録
【目的】
 現在、ワクチンの普及によって日本におけるポリオの新規発症はほとんどないが、ポリオに羅患、回復、安定化し、長期間たってから新たな筋力低下・易疲労性を呈するようになるポストポリオ症候群(PPS)が急増している。
 当部門では平成19年6月からポリオ友の会東海と共同で、ポリオ検診を開催している。その結果をもとに、ポリオ経験者の歩行能力推移を把握し、PPSの危険因子について検討した。
【対象および方法】
 対象は、第1~4回の検診(期間:平成19年6月23日~平成20年1月5日)を受診したポリオ羅患者計83名(男性28名、女性55名)とした。平均年齢は59.7歳(47~77歳)であった。
 検診における評価項目は、Halsteadの診断基準(1985)に基づいた問診、ROM-T、MMT、形態計測(周径、上下肢長)、DTR、感覚、立位、歩行、装具使用状況とした。このうち、歩行速度と筋力(大臀筋、大腿四頭筋)との関連性について検討した。また、Halsteadの四肢クラス分類(1996)に準じて診断した下肢のクラス分類と装具の使用状況との関連性について、各肢別に検討した。統計処理には、X2独立性の検定を行った。
【結果】
 検診を受診した83名中、歩行可能であったものが81名であった。平均歩行速度は3.4km/h、平均の歩幅は0.52mであり、歩行速度と歩幅とは高い相関を示した。大臀筋および大腿四頭筋の筋力は共に歩行速度との間に相関を認めた。しかし、装具非使用者についてみると、上記筋力と歩行速度との間に明らかな相関を認めなかった。また、Halsteadの下肢クラス分類(162肢)では、クラス4(不安定なポリオ;PPSに相当)と診断された下肢99肢(装具なし83肢、装具あり16肢)とクラス4以外と診断された下肢63肢(装具なし19肢、装具あり44肢)の間には、装具使用に有意差(P<0.05)を認め、クラス4は装具非使用に多かった。
【考察】
 ポリオ羅患者における歩行速度・歩幅は、健常成人に比べやや低い値を示した。また、装具非使用者では筋力と歩行速度の関連性がなく、極端な代償運動により歩行能力を維持していることが示唆された。また、下肢クラス4で装具非使用例では、装具非使用による下肢の過用がPPS発症に関与している可能性がある。
【まとめ】
 クラス4の下肢における装具非使用での日常生活が、PPSの発症・進行を引き起こしている可能性がある。筋力や生活強度、PPSの特徴的症状を総合的に検討して、早期に装具作製を行うことがPPSの発症・進行予防に役立つかも知れない。
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© 2008 東海北陸理学療法学術大会
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