抄録
【はじめに】
脳卒中の回復の程度はその重症度に影響することが多いが,重症例にもかかわらず順調な回復を呈する症例もしばしば経験する.急性期病院における脳卒中リハビリテーションでは予後予測に基づいて,より効率のよいリハビリテーションを行い、転院か直接自宅退院かをより早期に判断していく必要がある.回復期病院退院時のADL予後予測として,急性期病院入院時のFIM点数を用いた報告は数多く見られるが,急性期でのADL変化の程度は症例によって異なり,このことが回復期病院退院時のADLにどのように影響を及ぼすかは明らかにされていない.そこで本研究の目的は,急性期のFIM回復率と,回復期病院退院時までのFIM回復率との関連性を明らかにすることとした.
【対象】
対象は,急性期病院に入院し,回復期リハビリテーション病院に転院した虚血性脳梗塞患者11名(男性7名,女性4名,平均年齢75.7±9.5歳)であった.病型分類は,アテローム血栓性6例,心原性梗塞1例,その他4例であった.なお入院期間は,急性期病院5.1±0.9週,回復期病院9.7±4.1週であった.
【方法】
発症後2週時,4週時,回復期病院退院時にFIMを用いてADL評価を行い,FIM運動項目合計点(mFIM),FIM認知項目合計点(cFIM),FIM合計点(tFIM)を算出した.
2週目から4週目までのFIMの変化率,2週目から回復期病院退院時までのFIMの変化率をそれぞれ,2-4FIM改善率(4wFIM-2wFIM)/(項目別満点-2wFIM)×100(%),2-退FIM改善率(回復期退院時FIM-2wFIM)/(項目別満点-2wFIM)×100(%)を用いて算出した.
各項目間でspearmanの順位相関係数を用いて相関分析を行った.なお,有意水準は5%未満とした.
【結果】
FIM平均得点はそれぞれ,mFIM(2週時43.7±22.1,4週時54.0±23.2,回復期病院退院時74.3±13.0),cFIM(2週時24.9±9.0,4週時28.7±9.2,回復期病院退院時26.5±9.1),tFIM(2週時68.6±29.3,4週時82.7±30.9,回復期病院退院時100.7±19.7)であった.
2-4mFIM改善率と2-退mFIM改善率との間に有意な相関を認めた.cFIM,tFIMに関しても同様に有意な相関を認めた.
【考察】
急性期のFIM改善率と,回復期病院退院までのFIM改善率に関連性があることが明らかとなった.急性期のFIM改善率は,退院時のADL能力を予測するひとつの因子であるかもしれない.