東海北陸理学療法学術大会誌
第24回東海北陸理学療法学術大会
セッションID: P026
会議情報

機能的座位をめざした骨盤帯へのアプローチ
~成人片麻痺の症例を通して~
*船見 純子, 奥出 弘, 奥出 修子, 中森 陽一, 小原 毅, 亀谷 寛子, 増永 直子, 矢野 昌充
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抄録

【目的】
小原によると、ヒトは四つ脚から二足歩行を獲得していく上で、重力に抗して適合するように進化してきた。その中で、骨盤は椀形となり内臓を支えるとともに、脊柱の下端と一体化して、坐位の土台機能として発達していったと述べられている。今回、脳出血後遺症にて右片麻痺となり座位保持困難となった症例に対し、骨盤・脊柱の抗重力機能に着目し治療を行ったので報告する。
【症例紹介・経過】
57歳/男性/脳出血後遺症/右片麻痺
H19.4 発症 基本動作・ADL全介助
H19.6 リハヒ゛リ目的で当院に転院
【初期評価】
B.R.S.は右上肢・下肢・手指いずれもStage2であり、右上下肢・体幹筋群は全体的に筋緊張が低下を示していた。そのため、端坐位姿勢では、胸腰椎部後彎・右側屈、骨盤は後傾・右回旋しており、主に重心は右に偏位し、全介助の状態であった。起居動作等の基本動作やADLも全ての動作で介助を要し、食事動作は胃瘻を造設していた。
【問題点および治療】
ADL場面において、坐位保持困難による二次的障害への影響が考えられ、介助を要していた。そのため、坐位保持能力の向上を目的に体幹筋の促通を図った。その際、脊柱固有背筋や腹斜筋・腹直筋・腰方形筋などの促通のために、筋へのストレッチ刺激を利用することで筋収縮を促した。期間は1年間実施した。
【結果】
B.R.S.は右上肢・手指Stage3右下肢Stage2であり、筋緊張はAshworsスケールにて右上肢Stage3、右下肢Stage2、体幹は左右差がほとんどなくなった。その結果、端座位姿勢の脊柱はほぼ生理的彎曲となり、骨盤の後傾・右回旋は消失、重心はより正中位となった。基本動作は起居動作自立、移乗動作見守り、ADLは、ホ゜ータフ゛ル見守り、食事・整容自立、障害者y用浴槽見守りとなった。
【考察】
今回の症例は、骨盤・脊柱の抗重力機能の低下により機能的な座位が障害され、坐位からの姿勢変換やADLに制限をきたしていると考えた。そこで主要問題として、骨盤・脊柱の抗重力機能の低下をあげ、それを獲得するために、もっとも次元の低く安定できる臥位姿勢で腹直筋・腹斜筋・中殿筋・腰方形筋など骨盤の3次元の動きに必要な筋を促通する治療を行なった。Keeyan,j.j.によると、基本的坐位姿勢に比べラウンシ゛チェアで見られる坐位では、腰部の支えもなく筋の作用もないため、骨盤は後傾し腰椎前彎は極端に減少しているとあった。冨田らによる研究では下部体幹のインスタヒ゛リティーが機能的座位に影響を与えていると示唆されており、赤坂は腹斜筋・腹直筋・大腰筋・多裂筋・脊柱起立筋などが腰部骨盤帯領域の動的安定化と長軸方向の支持性に不可欠あると述べている。今回の結果は、骨盤・脊柱の抗重力機能が再獲得され、座位からの姿勢変換が可能となり、ADLの向上につながった。今回の症例を通して、機能的座位を獲得するためは、骨盤の3次元の運動を組み合わせた抗重力機能が必要であり、それを獲得するには下部体幹、骨盤、股関節の筋結合が必要で、それに対する機能的アフ゜ローチが行われることが重要であると考えた。
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© 2008 東海北陸理学療法学術大会
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