東海北陸理学療法学術大会誌
第24回東海北陸理学療法学術大会
セッションID: P069
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心臓リハビリテーションにおけるニューステップエクササイズの効果について
*萩原 和洋東 実紀小村 幸則藤井 崇史太田 恵子
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抄録

【目的】
 当院では心臓リハビリテーション(以下、心リハ)の有酸素運動にエルゴメーター、トレッドミル施行困難な症例にニューステップを用いている。当院でのニューステップ施行の患者背景や効果について検討した。
【方法】
 対象期間は06年10月~07年9月の1年間で当院心リハを施行した計177名のうち、エルゴメーター施行困難でニューステップを施行した29名(16.3%)。原因疾患は急性心筋梗塞7名、心不全6名、慢性閉塞性動脈硬化症4名、開心術12名であった。平均年齢は75.3±8.7歳、男性7名、女性22名であった。
 機器はSenoh社、NuStep TRS4000、座式の交互式上下肢協調運動器で、5~800wattまで負荷調整が可能である。上記心疾患で入院し、状態安定後に心リハでニューステップを開始し、運動開始時と退院時の運動時間と負荷量を比較検討した。統計はT検定で有意水準は5%未満とした。
【効果】
 エルゴメーター施行困難の原因は整形疾患9名、運動耐用能低下5名、廃用性筋力低下による歩行困難5名、慢性閉塞性肺疾患合併4名。他、血圧低下・眩暈があった2名、血圧上昇・頭痛、心拍数上昇が各1名、左不全片麻痺、創部痛が各1名であった。平均施行回数は平均19.3回±16.9であった。
 運動時間は開始時の平均9.5±2.5分に対し、退院時の平均25.9±6.0分とすべての症例で時間延長し、有意差(p<0.01)を認めた。平均運動負荷は開始時17.0±7.3Wattから退院時20.9±8.0Wattと有意差はなかったが増加傾向にあった。
【考察】
 活動性低下や安静臥床によりディコンディショニングが改善され、運動時間、運動負荷が改善したと考えられる。また、歩行器からT字杖歩行が可能となる、歩行距離延長、下肢筋力向上、SPO2の変動が少なく息切れしにくくなる、急激な血圧変動が少なくなる、脈拍上昇が少なくなった等の効果があった。これは、上下肢、体幹と多くの筋活動を促し、一部が筋力低下していても他肢で補い全身の有酸素運動が可能で、自分のペースでコントロール可能で全身の筋活動により心肺・関節・骨格筋に無理なく施行可能であった事が考えられる。さらに、上肢バーと背もたれで姿勢が安定し、坐面の前後調整が可能で、関節を痛める危険が少なく、整形疾患にも適応があったと考えられる。さらに、施行中の心事故も無く、安全に施行可能であった。
【まとめ】
 ニューステップは心疾患の有酸素運動として上下肢・体幹と多くの筋肉を使う事で筋力低下があっても施行可能で、整形疾患や歩行困難・運動耐用能低下・慢性閉塞性肺疾患などの患者様に処方でき、エルゴメーターやトレッドミル施行困難な患者様に安全に施行可能であった。

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© 2008 東海北陸理学療法学術大会
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