東海北陸理学療法学術大会誌
第24回東海北陸理学療法学術大会
セッションID: P087
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訪問リハビリテーションによる低頻度の運動療法が身体機能に及ぼす影響
*大田 英登長澤 美穂宮崎 賢二小林 勝正佐橋 千秋山村 理恵水野 加代子水野 有希子
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抄録

【目的】  訪問リハビリテーションでは1週間当たりの利用回数が1回もしくは2回の利用者が多いのが現状である。このような利用回数のなかで他サービスとの連携を図り、利用者の日常生活活動(以下ADL)能力や身体機能の維持、向上を図る必要がある。先行研究において、訪問リハビリテーション介入によるADL能力や要介護度の変化についての報告は多いが、身体機能についての報告は少ない。そこで今回、訪問リハビリテーションによる低頻度の運動療法が身体機能に及ぼす影響について検討した。 【方法】  当院訪問リハビリテーション(以下、訪問リハ)を利用し、今回の趣旨に同意を得られた7名を対象とした。性別は男性2名、女性5名、平均年齢は71.0±17.2歳であった。介護度は要支援2が2名、要介護2が4名、要介護4が1名であった。なお、対象者の訪問リハ頻度はすべての利用者が週1回の利用であった。方法は運動機能として握力(kg)、膝伸展筋力(kgf)、バランス機能として、開眼片脚立ち時間(sec)、精神心理機能として転倒恐怖スケール(Fall Efficacy Scale以下、FES)、ADL能力としてBarthel Index(以下、BI)を訪問リハ開始時(以下、開始時)、および3ヶ月経過後(以下、経過後)に測定した。なお、統計学的処理には対応のあるt検定を用い危険率5%未満を有意水準とした。 【結果】  握力が開始時18.6±8.5kg、経過後18.5±7.4kg、膝伸展筋力が開始時11.08±8.4kgf、経過後12.4±8.3kgf、開眼片脚立ち時間が開始時3.5±4.9sec、経過後6.3±6.4sec、FESが開始時21.3±6.6点、経過後23.0±6.4点、BIが開始時74.3±17.7点、経過後76.4±17.2点となり訪問リハ開始時、および3ヶ月経過後で有意差は認められなかった。しかし、膝伸展筋力、開眼片脚立ち時間、FES、BIについては維持、もしくは改善傾向であった。 【考察】  訪問リハによる3ヶ月間における低頻度の運動療法において、身体機能の有意な改善は認められなかった。Hettingerらによると週1回の最大筋力の40から50%の等尺性筋力増強訓練で効果が得られたとの報告もあることから介入方法については今後、検討の余地があると考える。しかし、身体機能の維持や改善をもたらす可能性があることが示唆されたことから低頻度の運動療法であっても利用者のADLに資する可能性があると考える。更に症例を増やし検討していきたい。

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© 2008 東海北陸理学療法学術大会
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