東海北陸理学療法学術大会誌
第24回東海北陸理学療法学術大会
セッションID: P094
会議情報

太極拳が高齢者のFunctional Reachにあたえる影響
太極拳教室参加者を対象として
*青山 満喜劉 紅年小山田 有希
著者情報
キーワード: 高齢者, 太極拳, Functional Reach
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

【目的】バランス能力の評価において一般的に用いられるFunctional Reach Testでは、前方へのリーチ動作を測定することにより、バランス能力が推測できるといわれている。
今回われわれは、太極拳が高齢者のバランス能力、特にFunctional Reach(以下、FR)にあたえる効果について多少の知見を得たので報告する。 【対象】平成19年5月から6月にかけて、N大学医学部老年情報学寄附講座において地域在住の高齢者を対象に太極拳教室を開催した。参加者は6名(男性1名、女性5名)、年齢は62歳から77歳(平均年齢70.3±6.15歳)であった。 【方法】太極拳教室初日には医師の問診を行い、太極拳教室の前後に毎回FRなどを測定した。
中国伝統医学太極拳会会長、伝統楊式太極拳第5代伝人が太極拳の指導にあたった。
太極拳教室では、5-10分のwarm up、太極拳、5-10分のcool downを内容として実施した。太極拳指導時には、中国伝統音楽をbackground musicとして用い、前回学んだ動きを反復した後、新しい動きを学んで実施した。統計学的分析はT検定を用い有意水準を5%未満とした。 【結果】太極拳実施前後の比較より、すべての参加者においてFRの有意な改善を認めた(p<0.05)。 【まとめ】高齢者の転倒予防に関して種々のexercisesが用いられているのは周知の通りであるが、近年、太極拳を転倒予防に用いた研究も報告されている。
太極拳は特別な機械・器具を必要とせず、ヒトが立位をとることができる場所さえあれば比較的簡単に行なうことができるexercisesのひとつである。
今回の結果から、太極拳が高齢者のFR改善に効果があることが示唆された。しかし、残念ながら対象者数が十分ではなかったため、今後症例を増やすとともにさらに検討を行う必要があると考える。

著者関連情報
© 2008 東海北陸理学療法学術大会
前の記事 次の記事
feedback
Top