東海北陸理学療法学術大会誌
第24回東海北陸理学療法学術大会
セッションID: P095
会議情報

ハンチントン病者のオーダーメイド車いす処方の経験
段階づけた車いす試乗による適合技術支援
*表 幸寺田 佳世北野 義明
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録
【はじめに】極めて発症率の低いハンチントン病者に対し,本人の身体特性や施設での日常生活に対応できる車いすを選択するため,石川県リハビリテーションセンター協力のもと数回の試乗を繰り返しながら,的確な車いす処方を行う機会を得たので報告する.
【症例紹介】年齢45歳,男性.ハンチントン病, FIM18点で.薬物によって精神症状・行動異常に対するコントロールを行っている.意思疎通は困難.四肢体幹機能全廃で上下肢体幹頸部に舞踏様の不随意運動(以下舞踏運動)がみられる.両膝・股関節屈曲筋群と足底屈筋群の緊張が高い.
【方法】検討1:ティルトリクライニング式車いす(Miki社製グランドフィッチャーEX)を試乗し,車いすに必要な機能構造を確認した.食事姿勢は座面に前後差を付け,リクライニング角度を調整することで頸部の舞踏運動が軽減し安定坐位が可能,また安静時もリクライニング角度を調整することと,背の張り調整機能を利用し座位は安定した.そのためフレーム構造は,移乗も考慮し170度のリクライニング機能付きで,座は前座高48cm,後座高38cmとした.しかし,骨盤帯の支持が弱く,坐角度をつけても自力での除圧動作時ずり落ちていくようにすべり座りになり,付随して,頸部や両下肢の舞踏運動が出現する傾向があった.
検討2:検討1で求めたフレーム構造のリクライニング式車いす(Miki社製)を試乗し,改造内容とクッションの検討を行った.身長が178cmと大柄であるので,背もたれ延長と頭部クッション,更に坐奥行きの延長を検討した.また姿勢の安定と突発的な舞踏運動に対応するため,頭部・胸・骨盤・膝下パットをつけた.更に下肢の屈曲拘縮が著明で足置台から足が内側へ落ちてしまうので,足置台の後方延長と角度調整を可能とした.また舞踏運動が見られるので手足の巻き込みを防止するなど安全面を考慮し,駆動輪にはスポークガード,アームサポートの延長と全面スカートガードとした.
【結果】身体特性と介護上の利便性を考慮し,検討1と検討2の条件を満たすオーダーメイド車いすを製作した.結果,車いす上で過ごす時間が延長し,食事時,頭頸部屈曲位が改善され介助が行いやすくなった.更に車いす上で突然出現する足クローヌスや上下肢体幹の激しい舞踏運動が減少した.
【まとめ】ハンチントン病の症例に対してオーダーメイド車いすの処方を行った.段階づけて車いす試乗を繰り返し,クッションなどの検討を行った結果,車いす坐位での舞踏運動が軽減され良好な成果を得た.
著者関連情報
© 2008 東海北陸理学療法学術大会
前の記事 次の記事
feedback
Top