抄録
【目的】
当院では移動能力の向上を進めるにあたり、これまでスタッフ間で移動を自立と判断する基準は明確でなかった。そこで平成19年6月より、自立と判断する際に参考とする病棟移動自立チェックシート(以下チェックシート)の使用を開始している。チェックシートの項目は移動に関連する動作と環境別での動作で、動作能力と実行状況より評価し、その他に参考にする基準があればその他の欄に記載する。そして自立と判断した後に転倒した場合は、その要因を検討しシート内容を修正するようにしている。今回、当院におけるチェックシートの使用状況を調査したので報告する。<BR>
【方法】
当院の理学療法士16名(経験年数1年目~7年目、平均経験年数3.87年)にアンケート調査を行った。アンケート内容は、チェックシートの使用頻度・チェックシートに記載された判断基準・それ以外の基準・使用方法・今後の使用の有無についてであった。<BR>
【結果・考察】
使用頻度は、必ず使用する25%、時々使用する44%、あまり使用しない31%、使用しない0%で、最初は使用していたが判断基準に困る際にのみ使用するという意見が多く挙がった。自立の判断基準としては、とてもよい0%、良い43%、普通44%、あまりよくない13%、よくない0%で、それ以外に用いる基準として、時間帯による変化や、他スタッフの意見を参考にする等の意見が挙がった。使用方法については、とてもよい0%、良い43%、普通43%、あまりよくない13%、よくない0%で、使用方法が定着していない等の意見が挙がった。今後の使用の有無ついては、必ず使用する25%、時々使用する69%、あまり使用しない6%、使用しない0%であった。<BR>
これらの項目ごとに新人(3年目以下)と経験者(4年目以上)に分けて、mann-whitneyのU検定を行なったところ、使用頻度は、経験者に比べて新人の方が使用している傾向にあり(P=0.08)、新人の意見として見落としのないように使用するという意見が多く挙がった。また有意な差ではないが、新人に比べて経験者の方が自立の判断基準を妥当だとしており(P=0.14)、新人スタッフは先輩や他スタッフに聞くことが多く判断基準が明確でないようである。<BR>
【今後の課題】
今後チェックシート項目を修正し、使用方法の手間を改善、周知を行っていく必要があると考える。また当院において歩行が自立直前と判断された患者に使用している「若葉マーク」と併用することで、自立に向けての判断基準として客観的意見を聴取しやすくなると考える。更に、チェックシートを最低ラインの自立判断基準とするとともに、それ以外の判断基準も明確に示していきたいと考える。