東海北陸理学療法学術大会誌
第25回東海北陸理学療法学術大会
セッションID: C-2
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右後足部外側にしびれを訴える症例に対して行った運動療法
*田中 夏樹岡西 尚人稲葉 将史山本 昌樹
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抄録

【はじめに】  今回、右後足部外側に原因不明なしびれと疼痛を呈した症例に対し、運動療法を施行し症状が消失した。本症例における病態の考察とともに、症状の経過に準じて行った運動療法について述べる。なお、症例には本発表の主旨を説明し、同意を得ている。 【症例紹介】  症例は40代の女性。スキー中に左ACLを断裂し、1ヶ月後より当院にて理学療法を開始した。左ACL断裂より10ヶ月後にエピソードなく右後足部外側にしびれと疼痛が出現し、徐々に増悪した。他院にて腰部MRI検査、腓腹神経の神経伝導検査を行ったが原因不明と診断された。 【初期理学所見】  右足関節底背屈0°でのSLRは20°で右後足部外側のみに疼痛を訴えた。右足関節底背屈0°で踵骨を徒手的に回外させると同様の症状が出現し、同部に歩行時痛も訴えていた。右踵骨外側の皮膚の可動性は低下しており、フットプリントでは凹足傾向であった。また、梨状筋、腓腹筋に圧痛を認めた。 【治療および経過】  疼痛出現2週後から週3回のペースで治療を行った。治療は梨状筋や腓腹筋のリラクセーションを行い、後に踵骨外側の皮膚の滑走性改善と踵骨の他動回外運動を行った。治療開始1週後に歩行時痛は消失し、4週後に足関節底背屈0°でのSLRが80°となり、症状は消失した。 【考察】  本症例の症状は、足関節底背屈軸より遠位部における腓腹神経外側踵骨枝(以下、外側踵骨枝)の滑走不全が原因であり、症状の改善には外側踵骨枝の滑走性改善が必要であると考えた。しかし、外側踵骨枝周辺組織への操作を行ったところ右後足部外側の疼痛が著しかった。そのため、梨状筋や腓腹筋のリラクセーションから行い、より中枢の坐骨神経、腓腹神経の滑走性改善を促したところ、外側踵骨枝周辺組織への操作が可能となった。<BR>本症例の病態は原因不明とされたが、詳細な所見を基に解剖学的に病態考察を行い、的確なアプローチを行うことで症状の改善を認めた。

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© 2009 東海北陸理学療法学術大会
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