東海北陸理学療法学術大会誌
第25回東海北陸理学療法学術大会
セッションID: O-4
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臨床実習中における学生の精神的ストレスは実習初期に増加する
*西田 裕介久保 裕介
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抄録

【はじめに】理学療法教育課程における臨床実習は、その特性上、学生を中心に実習施設と養成校との相互関係によって成り立っている。つまり、臨床実習中は、養成校でも学生の状態を適切に把握し、介入する必要がある。本研究では、以下の2つの検討を通して、学生のストレス状況の経時的変化を捉えることができたので報告する。 【倫理的配慮】対象者(検討1・2)には、口頭および文書にて十分な説明を行い、研究参加への同意を得た。 【検討1】本学理学療法学専攻4年生1名(男性)を対象に、8週間の臨床実習(総合実習)における自律神経活動(心拍変動解析)および精神的ストレス(POMSを用いたアンケート調査)の経時的変化を検討した。評価は、実習1週間前から測定を開始した。データは1週毎に平均し、その値を比較した。その結果、交感神経活動(生理的緊張状態を反映)および精神的ストレスは、実習開始1週目、2週目に著明に増加し、この実習初期を過ぎれば、精神的に安定してくることがわかった。 【検討2】本学理学療法学専攻3年生29名(男16名,女13人名)を対象に、4週間の臨床実習(評価実習)中の生理的(毎日の早朝時心拍数)ストレスおよび精神的ストレス(POMSによるアンケート調査)の経時的変化を定量的に評価した。データは、1週毎に平均し、その値を比較した。その結果、生理的ストレスは,実習期間が進むにつれ増加する傾向があり、心理的ストレスは、実習初期に著明に増加するが実習最終週になると減少する傾向が認められた。 【結論】今回の検討より、精神的ストレスは、実習初期(2週目前後)に急激に増加し、この時期を過ぎると安定してくることがわかった。つまり、実習初期(2週目前後)に実習施設および養成校が連携し、学生に対して適切な介入を行うことで、過度な精神的ストレスを抑制し、実習(体験や学習)時の良い環境が構築できるのではないかと考えられる。

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© 2009 東海北陸理学療法学術大会
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