東海北陸理学療法学術大会誌
第25回東海北陸理学療法学術大会
セッションID: O-5
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端座位側方リーチ動作におけるリーチ距離と荷重量の関係
*松村 純横川 正美塩本 祥子森 健太郎三秋 泰一洲? 俊男
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抄録

【目的】  
 端座位での側方リーチ動作練習によってリーチ側への荷重が促されることが考えられるが,リーチ距離と荷重量の関係を検討した報告は少ない.本研究では,様々なリーチ距離でのリーチ動作におけるリーチ側への荷重量と,その際の座圧中心の移動距離,および頭部・体幹・下肢の動きを比較検討することとした.
【方法】  
 本研究の内容を説明し,参加の同意が得られた健常男性15名(平均年齢24.9±4.0歳)を対象とした.運動課題は端座位での右側方へのリーチ動作とした.被験者に最大リーチ動作を3回行わせ,最大リーチ距離(max)を求めた.次に,maxの20%,40%,60%,80%のリーチ距離を算出し,各リーチ距離での測定を1回行った.分析には動作の最終肢位を用い,三次元動作解析装置の処理画像から頭部傾斜,肩甲帯傾斜,骨盤傾斜,下腿傾斜,体幹の各角度を算出した.また,座面下の重心動揺計から,左右方向の圧中心点(COP X),前後方向の圧中心点(COP Y),右側検出台の垂直方向への床反力を体重で除した荷重量比(RFz/体重)を求めた.
【結果】  
 各測定値をリーチ距離20%,40%,60%,80%およびmaxとの間で比較した結果,RFz/体重は20%から60%にかけてリーチ距離の延長とともに有意に高値を示し,60%以降はほぼ全体重がリーチ側にかかっていた.骨盤傾斜,COP Xはリーチ距離の延長とともに有意に高値を示した.さらに単回帰分析を行ったところ,骨盤傾斜とCOP Xとの間でR2=0.95の直線回帰で示された.
【考察】  
 本研究の結果から,荷重を促すという目的のもとリーチ動作を行う場合,最大リーチ距離の60%程度のリーチ動作で十分効果が得られるのではないかと考えられる.また,骨盤傾斜とCOP Xとの関係から,骨盤傾斜がリーチ動作中のCOPの移動距離の目安となることが示唆された.

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© 2009 東海北陸理学療法学術大会
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