東海北陸理学療法学術大会誌
第25回東海北陸理学療法学術大会
セッションID: O-6
会議情報

Cardiac-Locomotor Synchronizationの誘発が歩行の効率性に与える影響
*竹内 真太西田 裕介
著者情報
キーワード: 歩行, 効率, 同期
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

【目的】心拍リズムと運動リズム間の同期現象(CLS)は,心血管系と活動筋との間で協応が起こることから,血液の循環効率がよい状態を示していると捉えられている。そこで本研究では,心拍出量と動静脈酸素含有量格差の積で表される酸素摂取量を用いてCLS時の運動の効率を検討することで,心血管系と活動筋の間での血液の循環効率を明らかにすることを目的とした。
【方法】対象は健常成人男性8名(年齢23±2歳,身長170.7±8.26cm,体重62.4±8.26kg)とした。方法は,歩行リズムを120steps/minに合わせ,心拍数120bpmで定常状態となるよう調節されたトレッドミル上で10分間の歩行を行った(CLS群)。十分な休息の後,同様のトレッドミル速度と傾斜にて,対象者の好みの歩行リズムで10分間歩行を行った(自由歩行群)。主な測定項目は,心拍数と酸素摂取量とした。各プロトコル間の心拍数および酸素摂取量の比較には,対応のあるt検定を用いた。有意水準は危険率5%未満とした。本研究は,聖隷クリストファー大学倫理委員会の承認のもと実施した。
【結果と考察】心拍数は両群間で有意差は認められなかった。心拍数に差がないことから,両群間における活動筋への血液供給量には差がないと考えられる。一方,酸素摂取量は,CLS群23.0±2.33l/kg/min,自由歩行群21.1±2.33l/kg/minであり,CLS群が有意に高値を示した。これは,CLSの発生によって,活動筋の弛緩のタイミングと筋への血液流入のタイミングが一致し,活動筋への血液流入がスムーズに行われ,効率よく血液が利用されたためと考えられる。その結果,筋の有酸素的代謝が亢進し,酸素摂取量が増加したのだと推測される。したがって,CLS時には歩行時の活動筋への血液供給が効率よく行われている可能性が示唆された。

著者関連情報
© 2009 東海北陸理学療法学術大会
前の記事 次の記事
feedback
Top