抄録
【はじめに】
高齢の重症心不全に対するリハビリテーション(以下,リハ)では,適切な状態把握と十分なリスク管理下で離床を進めていく.
今回,高齢の重症心不全に対するリハの効果について検討するため,その経過を調査したので報告する.
【対象】
2008年4月から2009年4月に慢性心不全の急性増悪にて当院に在院し,退院した患者のうち,75歳以上で3週間以上リハを実施した症例で,入院時の脳性ナトリウム利尿ペプチド(以下,BNP)が500pg/ml以上の14例とした.平均年齢は85±6歳であった.
【方法】
対象14例中,死亡例を除く8例についてリハ開始時と終了時におけるNew York Heart Associationの心機能分類(以下,NYHA分類)と障害老人の日常生活自立度(以下,寝たきり度)を調査した.また,入院時及び退院時に最も近いBNP値を用いて心機能を評価した.死亡例については死亡原因を調査した.
なお,リハでは低負荷の運動療法を行うとともに日常生活の活動量を設定した.
【結果】
生存8例中,リハ開始時に比べ終了時のNYHA分類が改善したのは5例,維持は3例であった.寝たきり度が改善したのは5例,維持は2例,悪化は1例であった.BNPが減少したのは5例,増加は1例,不明は2例であった.
死亡6例の死亡原因は肺炎が3例,老衰が2例,腎不全の急性増悪が1例であった.
【考察】
生存8例ではNYHA分類 ,寝たきり度ともに改善傾向にあり,ADLの維持・向上において効果があると考えられた.BNP値を用いた心機能評価では1例を除き,悪化することなくリハを行うことができていた.
死亡例では肺炎が死亡原因の半数を占め,いかに肺炎を防ぐかが死亡のリスクを下げると考えられた.
高齢の重症心不全に対するリハは,十分なリスク管理下で低負荷の運動療法を行うとともに,個々の患者に合った日常生活の活動量を設定し,維持されるよう関与していくとよいと考えられた.