抄録
【目的】
過去の報告ではADLと難易度についての報告はみられているが、FIM運動項目の中での介助量研究報告は少ない。ADL訓練を行う際の着眼点をみつけることを目的とし今回の研究を行った。
【対象】
研究期間は2009年4月から2009年6月の間に当院に入院していた脳血管障害患者55名(男性:19名 女性:36名)とした。疾患内訳は脳梗塞 41名 脳出血 9名 その他 5名であった。平均年齢は74.9±13.1歳であった。
【方法】
今回、FIM運動項目を評価する際に含まれる内容をさらにFIMに準じて「自立」から「全介助」までの7段階評価(食事では「準備」「口まで運ぶ」「咀嚼、嚥下」「食べ残しを集める」の4項目でFIMは採点を行う。今回はこの4項目それぞれFIMに準じて7段階評価した)を行った。そして、「自立」「修正自立」を自立群、「監視」を監視群、「最小介助」から「全介助」までを介助群とし、自立群、監視群の割合を調査した。
【結果】
食事は「摂食、嚥下」「口に運ぶ」の自立度が高いが、「準備」の自立度が低かった。移乗動作は「立ち上がり」の自立度は高いが、「方向転換」の自立度が低かった。更衣動作(上衣、下衣)は「片腕を通す」など開始動作の自立度が高く、開始動作ができないと残りの項目は自立度が低かった。トイレ動作は「拭く」ことの自立度は高いが、「服の上げ下げ」の自立度は低かった。清拭は遠位にいくほど自立度が低下した。
【考察】
今回の結果では食事の自立度が最も高かった。しかし、食事の項目で「口に運ぶ」ことが出来ない場合は、他のFIM項目の自立度も低下していた。
更衣はFIM3点と4点では「片腕を通す」など開始動作の自立度が変わってくる。これは開始動作がその後の動作に影響したものだと考える。移乗動作はFIM3点と4点では「立ち上がり」の自立度が変わってくる。4点になるかどうかは「立ち上がり」の影響が考えられる。今回の結果から、FIM3点と4点ではポイントとなる項目があった。また、食事で「口に運ぶ」ことが行えないとADLに影響を及ぼすことが示唆された。