東海北陸理学療法学術大会誌
第27回東海北陸理学療法学術大会
セッションID: P-094
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急性期脳卒中における部分免荷トレッドミル訓練の効果
予備的検討
*山口 裕一小口 和代鈴木 琢也中嶋 章紘仲村 我花奈嶋本 尚恵星野 高志
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抄録
【目的】「脳卒中治療ガイドライン2009」において部分免荷トレッドミル訓練(以下,BWSTT)はグレードBと推奨されている.BWSTTの効果検証は回復期や慢性期が主で,急性期では数少ない.急性期におけるBWSTTのRCTを開始した.
【方法】対象は平成22年10月から平成23年4月の間に当院に入院した初発脳卒中患者のうち,1)発症前ADL完全自立,2)リハビリ室訓練開始時(以下,開始時)に手すり歩行5mが要介助,3)運動負荷禁忌の合併症なし,を満たす17名(平均年齢62±20歳)とし,BWSTT実施群(以下,実施群)9名(同60±21歳)と実施しない群(以下,非実施群)8名(同64±13歳)に無作為に群分けした.
 訓練頻度は共に週5で,実施群では開始時よりBWSTTを週3実施した.BWSTT時の歩行距離・歩行速度・懸架量は患者個々に設定した.課題A:手すり立位,課題B:手すり歩行5mが,いずれも監視となった,あるいは開始時から3週間経過した時点で介入終了とした.開始時から課題A/B達成までの日数,開始時・終了時のSIAS(下肢運動項目合計),FIMに準じた立位歩行の自立度および1日当たりの平均歩行訓練距離(以下,訓練距離)の平均値を群間で比較した.本研究は当院倫理委員会にて承認され,対象者には同意書にて同意を得た.
【結果】開始時の平均発症後日数はいずれも9日だった.また介入期間中に実施群,非実施群共,要治療の新たな医学的合併症は認めなかった.
 実施群・非実施群それぞれのSIAS(開始時/終了時)は4/5,4/6,立位(同)は4/5,3/5,歩行(同)は3/5,2/4だった.訓練距離は53m,14mで有意に実施群が長かった(P<0.01).一方,実施群,非実施群の課題A/B達成者数(名)は8/6,7/5だった.それぞれの開始時から達成までの日数(日)は,7/9,8/7だった.
 さらに課題B未達成者(両群3名)の平均年齢は実施群71±10歳,非実施群73±5歳だった.実施群,非実施群それぞれのSIAS(開始時/終了時)は2/3,1/2,立位(同)は3/5,2/4,歩行(同)は2/4,1/2だった.訓練距離は34m,12mだった.
【考察】武井らは脳卒中発症後約3週からのBWSTTで,麻痺側運動機能障害が軽度な対象において平地歩行速度が改善したと報告している.今回はさらに発症後早期にBWSTTを施行したが,それが原因と思われる合併症は認めず,急性期でも通常のリスク管理を行えば,安全に施行可能な訓練法と考えられた.従来の報告では,歩行速度や単脚支持時間等歩行パラメータによる効果検証が多い.一方,本研究では自立度に着目し,早期の病棟ADL向上につなげる可能性を検討できた.
 課題B未達成者において,両群共に比較的高齢で麻痺は重度だったが,実施群では非実施群に比べ,立位監視までの期間は短く,歩行介助量も少なかった.要因として, BWSTTによる廃用予防や課題指向型の効果が考えられた.急性期BWSTTは,高齢・重度片麻痺患者,すなわち病棟ADL向上に難渋しやすい症例の,早期の介助量軽減に,より効果的である可能性が示唆された.
【まとめ】高齢・重度片麻痺といった歩行阻害要因を持っていても,早期に理学療法を開始し,BWSTTで長距離歩行することは,発症後早期に立位安定性を向上させ,歩行の介助量軽減につながることが示唆された.今回の研究では症例数が十分ではないため,今後さらに症例数を増やして検討を進めたい.
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© 2011 東海北陸理学療法学術大会
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