東海北陸理学療法学術大会誌
第27回東海北陸理学療法学術大会
セッションID: O-41
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リハビリテーションサマリーの見直し・検討について
*中澤 奈央
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抄録

【目的】〈BR〉近年,地域連携と言う言葉をよく耳にするようになった.〈BR〉当院は急性期病院であり,近院・施設へ担当患者が転院する例が多い.リハビリテーションサマリー(以下,リハサマリー)を作成する中で,転院先病院または施設に必要な情報が的確に伝達されているのか疑問に感じることが多くあった.〈BR〉そこで,スムーズな情報伝達・共有・連携を目指しリハサマリーに関するアンケートを実施した.〈BR〉【方法】〈BR〉当院は静岡県西部、北遠支部に位置している.そのため今回は同じ支部の中の42病院(または施設)を対象とした.郵送にてアンケートを実施した.〈BR〉アンケート項目は1.貴院・施設の種類,2.主なリハサマリーの送付先,3.主なリハサマリーの受け取り先,4.どのような場合にリハサマリーを作成するか,5.職種別にリハサマリーの形式を分けているか,6.リハサマリーの書式を疾患別(運動器・脳血管等)に分けているか,7.リハサマリーの記載内容,8.受け取るリハサマリーの内容として求める項目の全8項目で実施した.〈BR〉【結果】〈BR〉42病院(または施設)中,33病院より返信があり,回答率は78.6%であった.〈BR〉1.急性期病院29.7%,回復期病院14%,療養型病院31.3%,老人保健施設(以下,老健)3.1%,特別養護老人ホーム(以下,特養)0%,訪問リハビリ(以下,訪問リハ)9.4%,通所リハビリ(以下,通所リハ)11%,その他1.6%〈BR〉2.急性期病院5.4%,回復期病院8%,療養型病院17.9%,老健23.2%,特養8.9%,訪問リハ7.1%,通所リハ11.6%,ケアマネージャー15.2%,その他2.7%〈BR〉3.急性期病院48%,回復期病院34%,療養型病院8%,老健8%,特養2%,その他2%〈BR〉4.急性期病院への退院時5.9%,回復期病院への退院時9.7%,療養型病院への退院時20.4%,老健への退院時24.3%,特養への退院時10.7%,自宅への退院時(ケアマネージャー宛)19.4%,その他9.7%〈BR〉5.分けている39.4%,分けていない60.6%〈BR〉6.分けている32.4%,分けていない67.7%〈BR〉7.全病院が必ず記載している項目として,氏名,年齢,主病名である.職業,家族構成,キーパーソンの記載は少なく,看護サマリーに記載があれば省略するとの意見があった.その他,記載の多い項目は性別32件,発症日31件,最終評価30件,入院中の経過29件,退院時ADL29件,プログラム21件,初期評価21件であった.〈BR〉8.多い項目は氏名,年齢,性別,主病名,発症日の他に入院中の経過28件,退院時ADL25件,禁忌事項24件,最終評価20件,術式18件,初期評価13件,社会的背景13件であった.〈BR〉その他として,リハビリテーション実施頻度や現病歴・既往歴を知りたいという意見も聞かれた.〈BR〉【考察】〈BR〉地域医療を考える中で急性期から回復期,維持期,維持期から急性期への繋がりが必要である.しかし,アンケート結果より急性期病院転院時のリハサマリー作成率が非常に少ない.当院も急性期病院であり,他病院・施設よりリハサマリーを受け取ることは少ない.そのため,入院前ADLやリハビリ実施状況の把握に時間を要することが多くある.他病院より情報を受け取ることが出来れば,よりスムーズな介入が出来るのではないかと考える.〈BR〉リハサマリーの内容として,記載内容と受け取りたい内容に相違があった.また,療法士によって差があるとの意見もあった.当院でもリハサマリーに記載する項目はある程度は決まっているが,記載方法や表現方法が統一されていないのが現状である.地域連携を目指す上では転院先病院・施設が必要とする情報を確実に記載していく必要があると考える.〈BR〉【まとめ】〈BR〉今後,今回のアンケート結果をもとに,当院のリハサマリーの内容を見直し,検討をしていき,転院先病院・施設にとって意味あるリハサマリーになるように変更していかなければならない.〈BR〉また,今後はよりスムーズな連携を目指し,地域で統一したリハサマリーの形式を考える必要がある.〈BR〉

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© 2011 東海北陸理学療法学術大会
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