東海北陸理学療法学術大会誌
第27回東海北陸理学療法学術大会
セッションID: P-023
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よりよい人材育成のために
静岡県理学療法士会 教育・管理系専門部会の取り組み
*山田 洋一
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キーワード: 人材育成, 管理, 生涯学習
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抄録
【目的】静岡県理学療法士会 教育・管理系専門部会」(以下:専門部会)は平成20年度に新設され、当初、臨床実習指導者の教育レベル向上を目的に活動を行ってきた。しかし、生涯学習モデルからは、養成校教育や臨床実習は国家資格取得前の一過程に過ぎず、一人前の理学療法士となるためには、臨床業務に携わりながら日々研鑽しキャリア・アップを図る必要がある。そのためには、職場外の研修会や講習会の充実とともに、職場の学習環境を整備することが求められる。当専門部会では、昨年度より、理学療法部門の管理、及び管理者候補を対象に管理系研修会を開催した。今回は、研修会の内容と専門部会としての今後の取り組みについて報告する。 【方法】第一回研修会の目的は、「理学療法士の人材育成の課題を共有する」「人財を育てるための研修体系・研修計画の作成」「研修を効果的に運用するための方法」「教育研修の取り組みの紹介」とした。第1回ということもあり、主催者側と参加者、及び参加者同士のコミュニケーションの円滑化、情報交換を通して、人材育成や部門管理について問題点の洗い出しと共有化を図るため、講義形式だけでなく、両日ともワークショップを企画した。 【結果】参加者は、会員理学療法士16名、会員外医師1名の計17名。男性13名、女性3名。所属施設は一般病院が12施設、クリニックが2施設、介護保険施設が2施設だった。 講義は「理学療法士の人材育成の課題」「教育研修計画作成のコツ」「人材育成の取り組みと、そこから得た課題」「組織人としての理学療法士の育成」。ワークショップは、「理学療法士の人材育成の課題は?」「新人理学療法士の教育研修計画を考えてみよう!」とした。 研修終了後、参加者からは、「所属施設の部門管理を相談するところがない」「既に行っている部門内研修を振り返ることができた」「部門管理や人材育成について他施設と課題の共有化が図れた」などの感想を聞くことができた。 【考察】医療機関は、サービス提供者であり、その従事者が患者や家族の痛みを心身ともに理解しながら解決のための最善の方法を消費者である患者・利用者の立場から提案、実践しなければならない。直接利用者と接し、行動するのは国家資格を得た者である。我が国の医療制度は国民皆保険で、医療統制経済の行政の中での医療行為であり、この制度では、量的な医療サービスは保証されている。従って、多くの医療機関でほぼ同じ内容の医療サービスを受けることができ、他の医療機関との格差がない前提で、経営が成り立っている。専門職は、それぞれの持つ資格で許容された業務を日々繰り返し遂行していても、大きな問題は起こらない。理学療法士という資格も一度取得すれば、更新制度はないため、自己啓発をしなくても生涯仕事を続けられる安定した職業といえる。しかし、量の保障だけでは患者・利用者の満足度を向上させることは難しいように思われる。また、昨今の若者気質は、危機意識の欠如、若年者の老成化、無関心で依存的、社会性の欠如、問題解決能力低下など多くの問題を抱えているといわれている。このような人材が、管理、教育なく社会のニーズに応えられる理学療法士として成長することには課題が残る。さらに、たとえ技術、研究能力は優秀でも、接遇など情意領域の能力が低ければ、利用者の満足度は低く、ひいては所属機関の評価を下げる危険性も孕んでいる。理学療法部門管理者はその部門に所属するスタッフを組織が求める水準まで引き上げ、それぞれのキャリアに応じた能力を身につけるよう導く必要がある。そのために管理職には、理学療法技術や知識だけでなく、部門のマネジメントを含めた管理能力を持たなければならないといえる。リハビリテーションが重要視されている今、その中にある理学療法部門の質の向上は必要不可欠である。多くの患者・利用者の満足度向上のためには、多くの優秀な理学療法士を養成することは急務である。当専門部会の取り組みは、社会のニーズに応えるべく、優秀な管理能力を持つ理学療法士の育成にむけ継続していきたい。 【まとめ】理学療法士の信頼性を向上させるためには、技術や知識の向上だけではなく、それぞれの組織の理念に基づき業務を遂行する力を養成する組織力が必要である。我々の試みはまだ始めたばかりではあるが、社会のニーズに応えることができる理学療法士育成の一助となれるよう多角的な視点で取り組みを続けたい。
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© 2011 東海北陸理学療法学術大会
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