抄録
【はじめに】
当院は47床の回復期リハビリテーション病棟(以下回復期)を有している.2009年まで,土曜と大型連休の午前中のみ休日リハビリテーションを提供しており,2010年4月より365日リハビリテーション提供体制(以下365日リハ)を行っている.目的は在院日数の短縮,日常生活動作能力(以下ADL)の改善,在宅復帰率の向上である.今回,365日リハ体制前後の成果を比較すると同時に,全国平均ともあわせて報告する.
【対象】
2009年4月~2010年3月に回復期にて入院,退院した患者273名と,2010年4月~2011年3月に回復期にて入院,退院した269名とした.
【方法】
対象患者を365日リハ移行前の患者(以下体制前群)と移行後(以下体制後群)とし,在棟日数,入棟時FIM,退院時FIM,FIM利得,在宅復帰率,年齢の6項目について比較,検討する.統計処理は対応のないt-検定,Mann-Whitney検定を用い,有意水準は5%未満とした.
【結果】
体制前/体制後群は,在棟日数65.9±46.7/57.2±37.5日,入棟時FIM77.9±8/75.6±27.4点,退院時FIM98.6±28.0/99.4±27.9点,FIM利得22.0/22.9,在宅復帰率83/83%,年齢74.5±11.0/76.2±10.9歳であった.統計の結果,体制後は有意に在棟日数が短縮していた.(p<0.05)患者の入棟時,退院時FIMに有意差はみられなかった.
【考察】
今回,365日リハ体制前後で6項目について比較検討した.体制前群に比べて,体制後群は在棟日数の短縮が認められた.在宅復帰率,FIM利得は前後群において大きな変化は認められなかった.藤浪らによると,365日リハ体制後,訓練実施日数が増加したことで,高いFIM利得を得られるとしている.また,箭内らによると入院患者の平均年齢が高まったにもかかわらず,365日リハによりFIM得点の改善率が高まり,在院日数が短縮傾向であったと報告している.平成21年度回復期リハビリ病棟の現状と課題に関する調査報告書によると,全国平均在棟日数が72.3日だったのに対し,当院の体制前群は全国平均とほぼ変わらない日数であり,体制後群は約57.2日と短縮していた.箭内らによると,後期高齢者のリハビリテーションには集中的な効果があるとされている.当院の在棟日数が短縮したことも同様に,毎日継続してリハビリテーションを実施したことが考えられた.在院日数が短縮しながらも在宅復帰率,FIM利得に大きな変化がなかったことから,当院でも休日を含めた365日リハの効果があったと考えられた.しかしFIM利得において体制前後で大きな変化がみられなかったため,各患者が抱える問題点を細分化し,集中的にアプローチする必要があるのではないかと考える.今回はFIMの項目別で比較検討しなかったため,今後項目別での比較検討が必要である.
【まとめ】
・365日リハの現状と効果について報告した.
・365日リハを実施することで在棟日数の短縮を認めた.
・今後,FIMの項目別で比較検討していく必要がある.