東海北陸理学療法学術大会誌
第28回東海北陸理学療法学術大会
セッションID: P-41
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両側大腿骨近位部骨折術後患者の歩行能力についての検討
*稲垣 潤一, 髙木 聖, 森 紀康, 中村 優希, 林 由布子, 加藤 陽子, 今村 隼, 川出 佳代子, 今村 康宏
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抄録
【はじめに】 高齢化の進展に伴い大腿骨近位部骨折(以下、近位部骨折)患者数は増加の一途をたどっており、その歩行能力について数多くの研究が報告されている。一方、片側の近位部骨折(以下、片側骨折)後に反対側の近位部骨折(以下、対側骨折)を生じた両側近位部骨折(以下、両側骨折)に関する研究報告は非常に少ない。そこで今回われわれは、両側骨折患者の歩行能力について検討し、若干の知見が得られたので、その結果を考察とともに報告する。
【対象と方法】 2008年9月から2011年7月の間に当院において理学療法を施行した両側骨折患者22例を対象とした。内訳は男性3例、女性19例、平均年齢85.0±5.9歳であった。方法は、片側骨折後に歩行が自立しており、対側骨折後にも歩行が自立した群(以下、A群)9例、片側骨折後に歩行が自立していたが、対側骨折後は歩行に介助を要した群(以下、B群)5例、片側骨折後すでに歩行に介助を要し、対側骨折後も歩行に介助を要した群(以下、C群)8例の3群に分類した。これら3群について1)対側骨折受傷時の年齢、2)改訂長谷川式簡易知能評価スケール(以下、HDS-R)、3)手術から最終歩行能力到達までの日数、4)手術から退院までの日数、5)転帰先を調査し、比較・検討した。統計学的分析は一元配置分散分析にて行い、多重比較はLSD法を用いた。危険率5%未満を有意な差と判断した。なお本研究は、当院倫理委員会の承認を得て実施した。
【結果】 1)対側骨折受傷時の年齢は、A群80.2±4.1歳、B群89.6±5.1歳、C群87.4±4.5歳で、A群と比較してB群、C群で有意に高かった。2)HDS-Rは、A群25.2±3.3点、B群10.0±8.4点、C群10.9±7.8点でA群と比較してB群、C群で有意に低かった。3)手術から最終歩行能力到達までの日数は、A群51.7±15.6日、B群59.6日±18.4日、C群44.8±21.9日で有意な差は認められなかった。4)手術から退院までの日数は、A群75.3±18.7日、B群99.2±12.9日、C群78.8±27.0日で有意な差はみられなかった。5)転帰先については、A群は全例自宅、B群は自宅4例、他院1例、C群は自宅7例、他院1例であった。
【考察】 「大腿骨頚部/転子部骨折診療ガイドライン」では、歩行能力の予後に影響を与える因子として年齢、認知症の程度があげられている。今回の調査結果において対側骨折受傷時の年齢がA群に対しB群、C群で有意に高かったこと、また、HDS-RがA群と比較してB群、C群で有意に低かったことから、両側骨折においても受傷時年齢およびHDS-Rが歩行能力の予後に影響を及ぼす要因であることが示された。最終歩行能力到達までの日数は、3群間に有意差は認められず、いずれの群においても術後7週間程度でおおむね達成されていた。このことは、片側骨折患者の最終歩行能力についてのわれわれの先行研究結果と同様であった。
【まとめ】 両側骨折患者の歩行能力について検討した。受傷時の年齢およびHDS-Rが歩行能力に影響を及ぼす要因であることが示唆された。また、手術から最終歩行能力到達までの日数も片側骨折時とほぼ同様であることが明らかになった。今後は他因子との関係についてもさらなる検討が必要であろう。
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© 2012 東海北陸理学療法学術大会
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