東海北陸理学療法学術大会誌
第28回東海北陸理学療法学術大会
セッションID: P-42
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大腿骨近位部骨折患者に対する手すり支持椅子立ち上がりテストと回復期病院退院時の歩行能力との関連性
*柴本 圭悟上田 周平成瀬 早苗林 琢磨桑原 道生岩﨑 真美長谷川 多美子足立 はるか鈴木 重行伊藤 隆人
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抄録
【目的】 我々は第47回日本理学療法学術大会において術後早期に測定した手すり支持椅子立ち上がりテスト(Handrail Support 30-sec Chair Stand:以下、HSCS-30)が大腿骨近位部骨折患者の急性期病院退院時の歩行能力と関連があることを報告した。しかし、HSCS-30は急性期以降の歩行能力を反映する指標であるかは不明である。そこで今回、急性期病院入院時に測定したHSCS-30が回復期病院退院時の歩行能力を反映する指標となるかを検討した。
【方法】 対象は2011年2月~2012年4月に当院にて手術しリハビリを施行した大腿骨近位部骨折患者で、受傷前歩行能力が屋内歩行自立レベル以上、指示の理解が可能な18例(男性4例、女性14例、平均年齢82±7.3歳)を対象とした。骨折型は頚部骨折13例(人工骨頭9例、Hansson Pin 2例、髄内釘2例)、転子部骨折5例(全例髄内釘)であった。全例が術翌日より全荷重であった。方法は、急性期病院の術後5・7・10日目にHSCS-30を測定した。HSCS-30の測定は、対象者を高さ40㎝の台に座らせ、非術側の肘関節屈曲30°で平行棒を握らせた。平行棒の高さは大転子外側端とした。「用意、始め」の合図で立ち上がり、すぐに開始肢位へ戻る動作を1回として30秒間の回数を測定した。回復期病院退院時の評価項目は10m最大歩行速度(10 Meter Maximum Walking Speed:以下10MWS)を測定した。10m最大歩行速度は、10mの最速歩行時間から求めた。回復期病院退院時のMWSと急性期病院で測定したHSCS-30との関連性を検討した。さらに、回復期病院退院時の独歩、T字杖歩行自立群12名と非自立群6名に分け立ち上がりの回数を比較した。統計処理にはPearsonの相関係数、Spearmanの順位相関係数を用い、有意水準は5%以下とした。
【結果】 急性期病院の術後7・10日目に測定したHSCS-30は、回復期病院退院時の10MWSとの間に相関を認めた(r=0.60~0.69)。HSCS-30が術後5・7・10日目の各日にて10回以上行えた対象者は、回復期病院退院時に独歩かT字杖歩行が自立できていた。一方、HSCS-30が10回以下の対象者では一定した傾向を示さなかった。
【考察】 大腿骨近位部骨折術後の患者に対する術後7・10日目のHSCS-30の結果は、回復期退院時の歩行能力との関連があることが分かった。また、術後5・7・10日目でHSCS-30が10回以上の場合では全例が独歩またはT字杖で歩行自立していたことから、大腿骨近位部骨折患者の歩行の自立度を予想できる可能性を示した。しかし、HSCS-30が10回以下の場合でも回復期病院の退院時に独歩またはT字杖が自立されている対象者もおり、別の評価バッテリーの必要性が考えられた。
【まとめ】 急性期で測定したHSCS-30は復期退院時の歩行能力との関連があり、大腿骨近位部骨折患者の歩行の自立度を予想できる可能性を示した。
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© 2012 東海北陸理学療法学術大会
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