東海北陸理学療法学術大会誌
第28回東海北陸理学療法学術大会
セッションID: P-47
会議情報

ポスター
大腿骨頸部骨折地域連携パス患者の現状報告 当院の退院調整への取り組み
*川面 博哉芦田 勝文関 艶子明星 隆希
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録
【目的】 大腿骨頸部骨折は、整形外科領域では代表的な疾患である。その患者様は骨折受傷前から活動能力や歩行能力、認知力が低下していることが多く、術後には長期のリハビリテーションを必要とする場合が多い。
 今回、我々はリハビリテーションの実施において、ICFにおける「環境因子」に着目することで在宅復帰率の向上につながった取り組みと、今後の課題について報告する。
【方法】 対象は、大腿骨頸部骨折にて地域医療連携パスを利用し、当院でリハビリテーションを実施した2010年4月から2012年3月の41名(男性5名、女性36名、平均年齢83歳±14歳)とした。
 当院では、日常の業務でのリハビリテーションの中でも、特に患者様の「環境因子」に着目して、以下の取り組みを行った。1. 入院時の家族との面談で家族ニーズと退院後の受け入れ状況を明確にし、早期にゴール設定を行う。2. 退院前訪問指導、退院時指導を積極的に実施する。3. 患者様本人が在宅復帰したのち、介護者である家族が介護を怖がらないように、入院時からの介護指導を実施する。4. 入院早期からの多職種(ケアマネージャーを中心)との地域連携と退院前のケースカンファレンスを行う。
【結果】 退院後の生活の場は自宅:73.2%、併設老人保健施設:17.1%、他施設:7.3%、転院・その他:2.4%
 急性期病院での術後の平均在院日数:24.2日
 退院先別平均在院日数:自宅:39.2日(併設老人保健施設:58.3日、他施設:64.3日、転院・その他:43.0日)
【考察】 在宅復帰率を上げる要因として、自宅への家族の受け入れが良く、早期から退院先が自宅に設定できた方においては、住宅改修や患者様に応じた福祉用具の選定、地域包括支援センター等の多職種連携の強化によって、介護保険を有効利用できていることがあげられる。また、家族に介護指導を行うことにより、患者様本人の状態を家族が把握することで、「これなら在宅に連れて帰れる」という具体的なイメージを持つことができることも、在宅復帰につながっているものと考える。
【まとめ】 今回の報告では、大腿骨頸部骨折連携パス患者様を対象に、ICFにおける「環境因子」に着目して在宅への支援を行った当院の取り組みを報告することとなった。「玉城町」という小さなコミュニティであるからこそ地域包括支援センター(当院併設)や居宅支援事業所などの在宅へ向けた多職種との密な連携が小規模多機能的な支援効果を生んだものと思われる。これによって、理学療法士単独では得られにくいタイムリーな患者の情報、介護者の不安や周辺状況などをより正確かつ迅速に得られるようになったため、患者の円滑な退院調整によって、在宅復帰率の向上につながったものと考える。
 しかし、その中で退院が遅延した患者様が4名みえた。これは認知症が高度であったことや、家族の在宅への受け入れが困難であったためである。最終的には在宅復帰につながったものの、在宅復帰するか、施設入所するかの判断に長期間を要し、退院が遅延した。今後の我々の役割としては、在宅に向けて家族が患者様を受け入れるためのよいイメージを提供する支援をすることが後方病院の使命ではないかと思われる。
著者関連情報
© 2012 東海北陸理学療法学術大会
前の記事 次の記事
feedback
Top