東海北陸理学療法学術大会誌
第28回東海北陸理学療法学術大会
セッションID: P-51
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関節リウマチ患者の姿勢への関わり ―雪かき動作での腰背部固定化に着目して―
*山本 篤史高木 亮輔磯 毅彦
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抄録
【目的】 関節リウマチ(以下、RA)は関節炎を主症状とし、破壊性、進行性の特徴を有する全身性の疾患である。多くは慢性に経過し、経過とともに関節の破壊をきたし機能不全をもたらす。今回、RAを発症して初期の症例を担当する機会を得た。本症例は秋田県に在住し、雪かき動作のように上肢を使う動作にて、腰背部を固定的に制御していた。そこで上肢の動きに合わせた、脊柱の分節的な動きを引き出すよう介入をしたところ姿勢に変化を認めた。その結果に考察を加え、報告する。
 本報告に際し、当院倫理委員会の承認のもと、本症例へ口頭と書面にて説明し、同意を得た。
【方法】 対象は60代女性、罹患年数6年。Stage1。class1。DAS28, CRP2.35(臨床的寛解状態)。腫脹、熱感部位は認められなかった。BI100点。投薬はアザルフィジン1000㎎/日である。主訴は雪かき動作時に生じる腰痛を軽減したいであった。
 初回評価として、動作に影響する関節可動域の制限は認められなかった。筋緊張は脊柱起立筋、僧帽筋、広背筋、大腿筋膜張筋に亢進を認め、腹部、ハムストリングスに低下が認められた。疼痛は立位で上肢を動かすと、腰背部に認めNRS7/10であった。立位姿勢は腰椎前弯増強、骨盤前傾位であり重心線が後方に偏位していた。立位で上肢を挙上させると、腰背部を過剰な収縮で固定させて動作を行っていた。そこで腰背部の動きを確認するために、座位で骨盤の前後傾運動を評価した。前傾も後傾も腰背部が過剰に収縮し、脊柱の分節的な運動は認められなかった。治療戦略として、立位にて上肢を動かす際、腰背部と腹部の筋緊張をコントロールでき、上肢の動きに合わせ変化できる体幹の伸展活動を獲得することとし、治療を展開した。まず横断マッサージにて脊柱起立筋の過剰な筋緊張を取り除いた。次に臥位、座位、立位にて腹式呼吸で腹部の筋緊張を促通した後、骨盤を徒手的に誘導し、骨盤と脊柱の分節的な運動を引き出した。最終的に上肢を動かし、動きに変化できる腰背部と腹部の筋緊張を促した。
【結果】 治療は4週間行った。筋緊張は脊柱起立筋、僧帽筋、広背筋に軽減が認められ、腹部は高まった。疼痛はNRS3/10に軽減した。立位姿勢は腰椎前弯、骨盤前傾が軽減し、重心線が中央に近づいた。座位の骨盤前後傾運動は前後傾ともに腰椎の分節的な動きがみられるようになった。立位で上肢を挙上させると、動きに伴い腹部が高まり、脊柱の分節的な動きが観察された。雪かき動作を模擬的に行うと腰背部の固定が若干見られたが、過剰に固定している様子なく動作を行えていた。
【考察】 本症例は上肢を動かすと、腰背部を過剰に収縮させ固定的に制御する傾向があった。このような姿勢を選択することが慢性化していることで、腰背部に疼痛が生じていた。腹部の筋緊張が高まり上肢の動きに応じた、腰背部と腹部の筋緊張を変化できるようになったことで、脊柱の分節的な動きで姿勢を制御するようになったと考えられる。
【まとめ】 固定的な姿勢は将来的に変形や疼痛の悪化を引き起こし、動作を制限する。発症初期から姿勢を見直し、改善させることが今後、変形や疼痛を予防できると考える。
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© 2012 東海北陸理学療法学術大会
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