東海北陸理学療法学術大会誌
第28回東海北陸理学療法学術大会
セッションID: P-78
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視覚と体性感覚の協調を計測する試み ―異なる環境・条件における姿勢制御の観点から―
*高田 勇, 冨田 昌夫, 三嶋 博之, 古山 宣洋, 藤野 宏紀, 宮下 大典, 八木 崇行, 遠松 哲志, 野口 健人
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キーワード: 視覚, 体性感覚, 姿勢制御
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抄録
【目的】 ヒトは、発達段階で視覚と体性感覚の知覚システムを同時に動員し能動的に動くことでそれらの協調を学習し、様々な環境に対して適応可能になる。今回我々は、自分の身体と支持面を見ながら能動的に動く動作が、視覚と体性感覚の協調に与える影響を姿勢制御の観点から検討した。
【方法】 対象は、藤田保健衛生大学倫理審査委員会の承認(10-204)の下、同意を得た健常男性40名(平均年齢22.4±2.3歳)を10名ずつ揺すり、背臥位、腹臥位、腹臥位視覚遮断(腹臥位と同一の対象)、筋トレの5群に分類。重心動揺計(サンプリング周波数10Hz)を用いて、a;視覚情報統制条件とb;鉛直情報呈示条件で30秒間の静止立位時の、c;上肢水平挙上、d;点へのリーチ、e;面へのリーチ条件で15秒間のリーチ姿勢保持時の、単位面積軌跡長(以下、L/A)を計測。各群における治療前後での変化の平均値を算出した。
【結果】 各条件におけるL/A(/㎜)の治療前後での変化の平均値を群ごとに示す。
揺すり群:a;0.07, b;0.26, c;-0.11, d;-0.01, e;0.22
背臥位群:a;-0.07, b;0.11, c;-0.10, d;0.18, e;0.33
腹臥位群:a;0.27, b;0.29, c;0.57, d;0.16, e;-0.21
腹臥位視覚遮断群:a;-0.06, b;0.16, c;-0.11, d;0.20, e;0.82
筋トレ群:a;-0.05, b;0.06, c;-0.49, d;-0.37, e;-0.56
【考察】 L/Aは動的、静的な姿勢制御を識別し、その程度を示す微細さの指標となる。L/Aが増加する場合、運動の拡がりに拮抗する筋活動で制御するCA(カウンターアクティビティ)の戦略が優位に、L/Aが減少する場合、支点に対して反対側の重りで釣り合いをとり静的に制御するCW(カウンターウェイト)を活性化する戦略が優位になると考えている。ここで静止立位課題について、bでは全群でCA優位となり、視覚的構造物が空間的定位の指標になったと考えられる。その内、揺すり、腹臥位群はa, bともに、すなわち視覚情報量の大小に関わらずCA優位であり、1つの知覚システムが優位に作用することなく視覚や体性感覚といった複数の知覚システムが協調したためと推察される。一方、背臥位、腹臥位視覚遮断、筋トレ群ではaでCWの活性化が優位となり、視覚情報量の差でバランス戦略が異なるため、視覚と体性感覚が乖離したと考えられる。次にリーチ姿勢保持に関して、cは腹臥位群のみ、dは背臥位、腹臥位、腹臥位視覚遮断群、eは揺すり、背臥位、腹臥位視覚遮断群でCA優位となった。腹臥位群に着目すると、身体の質量バランスが不均衡となり体性感覚への負荷が高まるcと、視覚と体性感覚に対する拘束力が強まるdでCA優位となり、体性感覚だけでなく視覚と協調しながら柔軟な姿勢制御が可能であったと考えられる。また漠然とした注意の中、広い面に触れていれば良いという体性感覚が強く作用するeでは、体性感覚の反応に視覚の反応を沿わせたためCWの活性化が優位になったと考える。
【まとめ】 腹臥位群のように絶えず身体と支持面の変化を見ながら能動的に動く動作により、各々の環境・条件での姿勢制御が視覚と体性感覚に対する情報量に、よりダイナミックな適応を示した。視覚と体性感覚の協調を図る運動療法の新たな展開が期待できる。
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© 2012 東海北陸理学療法学術大会
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