抄録
【はじめに】 視神経脊髄炎は、視神経炎と横断性脊髄炎を繰り返す疾患である。中でも抗アクアポリン抗体陽性例は、無治療で高率に再発し、障害が増悪すると報告されている。今回、当院入院中に再発と、その後のステロイド剤服用中に感染を認めた抗アクアポリン4抗体陽性の視神経脊髄炎の理学療法を経験した。
【症例紹介】 76歳女性。[診断名]視神経脊髄炎(以下NMO)。[障害名]対麻痺。[現病歴]平成23年X月、吐気、嘔吐で近医入院。補液、抗生剤治療。12病日、乳頭から遠位にしびれ・脱力感あり。翌日症状悪化、歩行困難となり急性期病院に転院。腹部・両下肢随意性なし。ステロイドパルス療法の効果認めず。免疫吸着療法施行。115病日後、リハビリテーション(以下リハ)目的に当院転院。[血清]抗アクアポリン4抗体陽性。[服薬]ステロイド剤の服用なし。
【入院時現症】 視力低下、視野狭窄認めず。眼球運動正常。ASIA motor score(以下ASIA)55/100。触覚Th4以下中等度鈍麻。下肢運動覚中~重度鈍麻。MMT(右/左)股関節屈曲2/2-, 伸展1/1, 外転1/1。膝関節伸展2-/1。足関節背屈2/2-。体幹屈曲2。端座位保持は両上肢支持で軽介助。立位保持・起立全介助。移乗全介助。FIM Total 49点(FIM Motor 24点)。
【経過】 122病日、吃逆を認める。全身倦怠感の訴え強く、離床困難。ベッドサイドリハ中心。130病日、嘔吐・眼球運動障害を認める。体幹・下肢の麻痺増悪は認めず。再発(T2WIで橋被蓋、延髄被蓋に高信号)により転院。ASIA 51/100。ステロイドパルス療法後、PSL 20㎎/日服薬。161病日、当院再入院。ASIA 60/100.179病日、右短下肢装具(以下SLB)、左長下肢装具作成。平行棒内歩行訓練開始。184病日、左股関節運動時痛、左腰部痛を認める。起立・歩行訓練中止。191病日、体動困難。感染(左腸腰筋膿瘍、化膿性椎間板炎)により転院。ASIA 52/100。抗生剤治療後、261病日当院再々入院。ASIA 66/100。起立・歩行訓練中心にリハ実施。318病日、両側SLB着用し、前輪付き歩行器歩行自立。332病日、裸足での前輪付き歩行器歩行自立。356病日、自宅退院。
【退院時現症】 ASIA 76/100。触覚Th4以下軽度鈍麻。下肢運動覚軽~中等度鈍麻。MMT(右/左)股関節屈曲3/2。伸展3/2。外転3/2。膝関節伸展4/2。足関節背屈3/3。体幹屈曲3。端座位保持は上肢支持なしで可。立位保持・起立上肢支持なしで可。移乗自立。屋内前輪付き歩行器歩行自立。10m歩行24秒29歩。連続歩行距離300m。FIM Total 116点(FIM Motor 81点)。
【まとめ】 再発・感染症状出現に伴い、離床困難となる事で身体機能は低下した。症状が改善した後、装具を作成し、抗重力位姿勢を取り、積極的な運動療法を行う事で筋力増強を図った。これにより身体機能、歩行能力の改善を認めたと考える。再発・感染を認めたNMO症例に対し、症状が改善した段階で、積極的な運動療法を行う事は有効であると考える。