抄録
野菜や果実,茶などの植物性の食品に含まれるポリフェノールは,これまでに約8,000種が同定されており,様々な疾病に対する予防効果が示されている.生理機能が注目される一方で,食品素材のテクスチャーを変化させる作用についても報告されている.本研究ではタンパク質との相互作用が知られているタンニン類を中心に,魚肉由来のタンパク質ゲルのテクスチャーに対する影響を調査した.
タンニン酸,没食子酸,エラグ酸,カテキン類,ナリンゲニンを添加した魚肉ゲルで硬さの増加が確認された.マスイメージング測定および遊離SH基量測定から一部のポリフェノールでSH基を介したSS結合やタンパク質との複合体形成が推察された.フェノール性水酸基の数や分子量の大きさによってタンパク質に対する結合力が変化すると言われているが,テクスチャー制御においては結合力が強ければ良いというわけではなく,タンパク質に適したポリフェノールの選択が重要であることが示唆された.