2019 年 31 巻 181 号 p. SJ12-SJ14
HNK-1糖鎖は、単クローン抗体HNK-1によって認識されるヒトナチュラルキラー細胞上の糖鎖抗原として発見された。その後の研究により免疫系よりも神経系で高発現することが明らかとなり、また本糖鎖抗原が免疫グロブリンスーパーファミリーに属する細胞接着分子群などに共通に発現することから、神経細胞の接着や移動、軸索伸長などにおける役割が注目されていた。筆者はこのHNK-1糖鎖抗原の生合成酵素の精製やそのcDNAクローニングなどを行い、その成果に対し平成10年(1998年)に糖質学会奨励賞が授与された。本総説ではその研究の概要とその後の研究成果とともに、未解明な問題点などを紹介する。