1999年に私は、「プロテオグリカンのグリコサミノグリカン–タンパク質結合領域に作用する新規のα-N-アセチルヘキソサミン転移酵素の発見とその機能に関する研究」というタイトルで日本糖質学会の奨励賞をいただきました。この内容は、新規のα-N-アセチルヘキソサミン転移酵素を精製することにより、本酵素がガン抑制遺伝子であるEXT遺伝子のファミリータンパク質に属するEXTL2であると同定したものです。この賞をいただいてから、私の研究室では、EXTL2がグリコサミノグリカンの生合成を抑制する機能を持ち、この抑制機能はグリコサミノグリカン–タンパク質結合領域のキシロースのリン酸化を司る酵素であるFAM20Bにより促進されることを見出しました。さらに、この様なEXTL2によるグリコサミノグリカンの制御機構は、様々な病態において生体の恒常性を維持するのに重要であること、そしてEXTL2の欠損はグリコサミノグリカンの合成を増加させ、グリコサミノグリカンの構造異常を引き起こすことにより様々な病態形成に関わることがわかってきました。