Trends in Glycoscience and Glycotechnology
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動物の受精における配偶子グリコシダーゼの役割
Thomas G. Honegger広橋 教貴
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1992 年 4 巻 19 号 p. 437-444

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抄録

哺乳類の雄性生殖器道から得た精液や、色々な無脊椎動物あるいは脊椎動物の精子や卵から多くのグリコシダーゼが見出されている。その一部はすでに単離され、性質も明らかになっているが、受精における真の機能を明らかにするのは予想以上に難しいことがわかってきた。ホヤやマウスでは、受精の成立に不可欠な過程の一つである非細胞性卵外被への精子結合に、グリコシダーゼが関与しているという証拠が比較的最近示されている。さらに、哺乳類精子のピアルロニダーゼならびにおそらくβ-N-アセチルグルコサミニダーゼは、精子の卵外被通過とくに卵丘通過に関与していると言われている。しかし、精子による卵外被通過の正確な機構、あるいはそのような機構が哺乳類の受精一般に当てはまるのか否かは、今だに論議の的である。これまでのところ、ホヤとマウスでは卵のグリコシダーゼが遅い多精拒否に関与していることを示唆する結果が得られている。
以上をまとめると、グリコシダーゼが配偶子間相互作用、とりわけ精子と卵外被マトリックスとの相互作用において、重要、かつ不可欠な役割を演じていると考えて良いであろう。

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© FCCA, Forum; Carbohydrates Coming of Age
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