時間学研究
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子どもの生活時間の趨勢(1970-2020)
大久保 心
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2021 年 12 巻 p. 31-51

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抄録

生活時間研究を通じて,子どもの日常生活の階層間格差や地域間格差,特定の行動の時系列変化が明らかにされてきたが,子どものライフスタイルの総合的な趨勢の検討は十分でなかった。そこで本稿は,子どものライフスタイルの変化と安定の傾向を長期的に把握することを目的とした。10歳以上を対象とした「国民生活時間調査」の小学生,中学生,高校生,および親世代の40代の集計データを用いて,1970年から2020年までの時間量とタイミングの情報から生活時間の時系列変化を確認した。その結果,夜帯の生活時間の時系列変化について,40代と小学生は連動しやすい傾向が見られた一方で,中高生は40代と独立した傾向が見られた。また,日中の生活時間の多様性について,平日は50年間かなり安定していたが,日曜では一貫した変化と安定の傾向は見られなかった。平日と日曜の夜帯について,どの年齢層でも長期にわたり行動の多様化が見られたが,40代と小学生は徐々に夜型化していたのに対して,中高生は夜型傾向の維持と同時に自由行動の増加が確認された。以上の結果から,生活時間データからライフスタイルを捉える場合に時間量とタイミングの両情報の利用が有効であること,生活時間研究が子どもの社会化を長期的かつ客観的に把握するために重要であることが示された。

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© 2021 日本時間学会
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