学術の動向
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第一部 コロナ禍で顕在化した危機と生活課題 ―社会福祉学からの問題提起―
コロナ禍の1年間に医療分野のソーシャルワーカーが直面した課題
保正 友子
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2021 年 26 巻 11 号 p. 11_21-11_27

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抄録

 本稿では、医療分野で働くベテラン・ソーシャルワーカー14人に対する面接調査に基づき、コロナ禍1年間の業務変化を三期(Ⅰ期・Ⅱ期・Ⅲ期)に分けて示す。それにより、ソーシャルワーカーが直面した課題を可視化することが目的である。

 調査より、全期間に共通している状況と各期に固有の状況が存在した。前者は、不十分な本人・家族面接、不十分な業務展開、連絡・調整に関する手間の増加、滞る退院準備、外部研修の減少・中止、実習生受入れ縮小・中止、コロナ自体へのストレスである。後者は、業務量の増減、療養先選定、連携方法、業務の方向性、ストレス内容、コロナへの認識の変化である。

 以上の結果から4点の課題が挙げられた。①患者・家族のQOL増進に向けた切れ目のない支援の充実、②偏見・差別を生じさせない環境の醸成、③緊急時のソーシャルワーカーの役割・機能の明確化、④新たな支援ツールの普及・開発・習得である。

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