2021 年 26 巻 7 号 p. 7_10-7_16
科学技術・学術分野の男女共同参画を推進するため、大学等の女性研究者支援を軸とする政策が開始されて15年近くになるが、これまでの政策において、学校教育のあり方や役割が注目されることはあまりなかった。しかし、依然として大学進学にジェンダー差がある状況等を勘案すると、初中等教育段階の教育に注目する必要がある。こうした認識に立ち、日本学術会議社会学委員会ジェンダー研究分科会は、公開シンポジウム「理数系教育とジェンダー:学校教育にできること」を開催した。本特集はシンポジウムを踏まえ、科学技術分野のジェンダー平等を実現するために学校教育にできることを、理数系教育に着目して多角的に議論する。本稿は、議論に先駆けて、日本の科学技術・学術分野の男女共同参画政策を女子の理系進路選択の実態とともに振り返り、学校教育での取組みが十分でないことを指摘し、今後の展望を述べる。